2024年4月26日(金)

中東を読み解く

2019年11月22日

“第五列”とキングメーカーが非難

 ガンツ氏のもう1つのオプションは「リクード」との大連立を断念し、極右「わが家イスラエル」(8議席)を取り込み、多数派を形成することだった。だが、この構想はキングメーカーとなった「わが家イスラエル」のリーベルマン元国防相が、多数派の一角を担うアラブ政党を反シオニストの“第五列”とスパイ呼ばわりし、崩れ去った。

 このリーベルマン元国防相の言い回しはアラブ系市民を“二級市民”と見なす差別的発言との批判を呼んだが、最終的には元国防相はガンツ氏もネタニヤフ氏も支持しないとの立場を変えず、リベラルな政権を目指したガンツ氏の連立工作は成功しなかった。ガンツ氏はネタニヤフ首相を「起訴からの免責を画策している」などと批判、首相も「ガンツ氏がアラブ系議員の助けを借りようとしており危険」と非難した。

 今後どうなるのか。イスラエルの法律では、国会が3週間以内に過半数の議員が合意できる首相候補の擁立を目指すことになる。擁立できれば、大統領がその候補に2週間以内の組閣を命じる運びとなるが、現状では国会が候補者を擁立できる可能性は低い。

 つまりは再びやり直し選挙へ向かうことが極めて濃厚だ。世論からは選挙費用に「7億5000万ドル以上」(米紙)もかかることから無駄遣いとの批判も強い上、仮に3度目の選挙をやっても、「同じ結果にしかならない」(専門家)との見方も多い。ただ、ネタニヤフ首相が近く起訴されるとすれば、選挙戦は首相に逆風が吹くことになり、選挙結果を左右することになるかもしれない。


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