2024年4月17日(水)

家電口論

2019年12月27日

シャープよ、お前もか!?

 シャオミの発表から数日後、シャープが、若者世代に向けたキッチン家電「PLAINLYシリーズ」を発表しました。この若者向けにデザインを統一方法は、イオンなどの大手スーパーのプライベートブランドでも採用されている方法で、目新しさはありません。

 シャープのトップ技術の3つは、「液晶」「プラズマクラスター」「過熱水蒸気」ですが、この若者向けキッチン家電、その中に入りません。どちらかというとシャープの苦手とするところです。特に各家電メーカーが力を入れている炊飯器は、シャープでいいモデルが思いつきません。

 今回のPLAINLYシリーズは、キッチン家電全部ですから、当然炊飯器もあります。5.5合炊きのKS-HF10Bの市場導入時予想価格2万2000円。IHですから、今の日本市場の技術価格です。

なぜ元パナソニック?

 ところがこのKS-HF10Bで驚いたのは、火加減のプロデュースに、元パナソニックの下澤理如氏だったことです。中国から今回の新しい提案、特にシャオミの安いIHは注目に値します。日本市場と中国仕様では規模が10倍違いますので、コストダウンに関しては、日本メーカーは追従が難しいです。その上、元パナソニックという日本のDNAを取り入れてもいます。

 中国・美白傘下の東芝などが続くと、安価市場からヒーター系はなくなり、全部IHなるかもしれません。安くて美味しい炊飯器が出てくるのは大歓迎です。今回、双方とも一定水準をクリアしてそうです。今まで炊飯器の開発に携わってきた人が絡むわけですからなおさらです。

 しかし、なぜこうも元パナソニックなのでしょうか? 実はこの2人はこれに加えて「元サンヨー」ということが言えます。

 サンヨーはご承知の通り、倒産時に、「太陽電池」目的と、パナソニックの縁が深いところがあり、パナソニックが吸収という形で買います。一部、洗濯機と冷蔵庫部門は、中国白物家電の雄、ハイアールが買って、日本で「アクア」社を立ち上げ頑張っています。

 しかし、炊飯器はそうではありませんでした。当時のパナソニックが弱かった技術「加圧」をサンヨーが持っていたからです。一躍、パナソニックの炊飯器のレベルが上がります。それが2008〜2010年の話です。

 ところが、パナソニック自体は「B to C」から「B to B」へ重心を移しています。そのためでしょうか、新しく開発した技術がギシギシに入った家電ではなく、今ある技術とデザインを上手く融合させた家電を作っていると言う感じです。ガンガン新しく開発したいと言う人にはちょっと欲求不満がでてきます。このような感じの時に、「新しいことをしませんか?」と言われるとしてみたくなるのが人情でしょう。

 今回は、シャオミ、シャープの話ですが、退職した技術屋で家電を開発するアイリスオーヤマも同じ構図と言えます。今の時代、開発だけでも自社内完結が難しい時代になったようです。


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