Washington Files

2020年1月27日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 ③米下院民主党は去る1月14日、ジュリアーニ氏がトランプ大統領の了解の下にゼリンスキー大統領との個人的面談を求めた同大統領宛て書簡の写しを新たな証拠物件として上院に提出した。

 昨年5月10日付けの同書簡には「私はトランプ大統領の個人的弁護士として5月13日か14日に貴殿に直接お会いしたい。時間は30分も要しないだろうが、『特定の要請事項』について話し合いたい。この件については事情に明るい自分の同僚弁護士を同行するつもり……」などと記されていた。

 下院の弾劾審議で中心的役割を演じたシフ情報活動委員会委員長は、同書簡の存在について「これらの新証拠は、われわれがすでに熟知していることをあらためて確認するものだ。すなわちトランプ大統領および側近たちがウクライナ政府側に対し、大統領選挙で有利になるようにバイデン捜査工作に乗り出していたことを明確に示している」との声明を発表した。 

 これに対し、弾劾裁判を一手に取り仕切る共和党側は、裁判の結審を急ぐ露骨な動きを見せている。

 同党は21日、ホワイトハウスに対する追加証拠提出を求めた民主党側の要求を反対53、賛成47で却下。下院弾劾審議で提起された証拠提出については了承。

 さらに同日深夜、民主党が求めていたミック・マルバニー大統領首席補佐官代行の弾劾裁判での証人喚問を否決した。マルバニー氏は、昨年秋、記者団に対し、「ウクライナ援助凍結の目的は、バイデン捜査との見返りquid pro quoだった」と認め、その後発言を撤回したものの、民主党側は重要証人としての喚問を求めていた。

 翌22日未明、民主党側は事件に関連したホワイトハウス関係者のメール、通話記録などの証拠物件提出を要求したが、反対多数で却下された。

来月早々にも「無罪」決着となる見通し

 さらに事件解明のカギを握るとされるボルトン前大統領補佐官の証人喚問要請についても、共和党側は判断を先送りした。

 23日付けワシントンポスト紙は、国民の10人中7人が弾劾裁判での証人喚問望んでおり、58%が大統領は権限を濫用したとみなし、過半数がトランプ大統領罷免を支持していることを示す各種世論調査に言及した上で、「国民大半の願いは、公正な裁判、公平な陪審員そして必要な証人喚問の実現にほかならない。マコーネルがもし、国民の心に響く価値観を説くのであれば、まさにアメリカを体現する精神の持ち主といえるが、現実には大言壮語の道化師にふさわしい、節度なき政治屋精神をさらけだした」と酷評した。

 今のところ、鳴り物入りでスタートしたトランプ弾劾裁判は、マコーネル氏陣頭指揮による強引な幕引き作戦が功を奏し、来月早々にも「無罪」決着となる見通しだ。

 このままでは見方によっては、“ポチョムキン”を超える茶番裁判と評されかねない。

 その結果、共和党は、11月の大統領選と議会選挙でどのような国民の裁きを受けることになるのだろうか。

  
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