2024年6月19日(水)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年1月30日

論点のすり替え

 今回の弾劾裁判の論点は、トランプ大統領に対する弾劾条項2項目「権力乱用」及び「議会妨害」が弾劾・罷免に相当するか否かです。にもかかわらず、ホワイトハウス弁護団はバイデン親子の批判に時間を費やしました。

 弁護団の1人ジェイン・ラスキン氏は冒頭陳述で、バイデン前副大統領がハンター氏の汚職捜査していたといわれているウクライナの検事総長を解任しないと支援を保留すると同国に迫り成功し、自画自賛しているビデオを見せました。バイデン氏こそが権力を乱用して、ウクライナを脅し、息子を助けたというメッセージを送る思惑があったことは確かです。

 仮にバイデン氏が民主党候補になった場合、トランプ陣営はこのビデオをネット上で繰り返し流して、バイデン陣営に確実にダメージを与えるでしょう。

 さらに、ラスキン氏は父親の影響力でウクライナのエネルギー会社ブリスマの役員になったハンター氏は、年間100万ドル(約1億9000万円)の収入を得ていたと強調しました。

 その狙いは、ハンター氏を腐敗したエスタブリッシュメント(既存の権力者)に描くことです。トランプ流の表現を使えば、「ハンターは沼(腐った人間)だ」というレッテルを貼りたいのです。

 もうここまでくると、弾劾裁判はトランプ支持者向けの選挙運動に変容してしまったと言わざるを得ません。

 同様に、セクロー氏も論点を拡大してそらしました。まず、ロシア疑惑で米連邦捜査局(FBI)は英国のスパイが作成した誤った文書に基づいてトランプ大統領を捜査したと批判しました。次に、民主党はロシア疑惑で失敗したのでウクライナ疑惑で挽回するようにトランプ氏を弾劾したと強調しました。さらに、選挙の年なのでトラン氏を弾劾したと語気を強めて語りました。

 結局、弾劾裁判は選挙運動化したといえます。


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