海野素央の Love Trumps Hate

2020年1月30日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

どちらが効果的な陳述をしたか?

 弾劾管理人のチームを率いた下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党・西部カリフォルニア州第28選挙区選出)は、冒頭陳述で関連文書・記録及び証人による証言がない裁判を批判して、「米国民に公平な裁判ではない」と強く主張しました。そして、「米国にとって公平な裁判を」と訴えて、弾劾管理人の冒頭陳述を締めくくりました。これはかなり効果的であったといえるでしょう。

 一方、ホワイトハウス弁護団のセクロー氏は「(弾劾は)危険だ。危険だ。危険だ」というフレーズを冒頭陳述の中に数カ所組み入れて、情熱的に語りました。同氏の陳述は高得点を稼いだことは間違いありません。

 さらに、弁護団を率いたパット・シポローネ法律顧問は冒頭陳述で、1999年のクリントン弾劾裁判で弾劾に反対したジェロルド・ナドラー下院司法委員会委員長(民主党・東部ニューヨーク州第17選挙区選出)及び上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務(東部ニューヨーク州)等の討論をビデオで見せました。そのうえで、「彼らは正しい」と皮肉交じりに語りました。当時、民主党議員は「弾劾は政治的武器である」と共和党議員に反論していたからです

 シポローネ法律顧問は「弾劾ではなく、米国民が大統領に投票して決めよう」とアピールして、冒頭陳述を終えました。この終わり方も非常に効果的であったといえます。

 では、今回の弾劾裁判で誰が勝者になるのでしょうか。米ワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査(20年1月20-23日実施)によれば、仮にトランプ大統領が弾劾されても罷免されなかった場合、10%が「民主党の勝利」、33%が「トランプ大統領の勝利」、51%が「どちらでもない」、6%が「分からない」と回答しました。この調査結果を見る限りでは、「引き分け」が過半数を占めています。

 弾劾裁判は29、30の両日、陪審員役を務める上院議員から弾劾管理人並びにホワイトハウス弁護団への質疑を行います。翌31日は証人召喚を巡る討論を実施し採決に入ります。もちろん、討論の焦点はボルトン氏の証人召喚になります。

  
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