どちらが効果的な陳述をしたか?
弾劾管理人のチームを率いた下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党・西部カリフォルニア州第28選挙区選出)は、冒頭陳述で関連文書・記録及び証人による証言がない裁判を批判して、「米国民に公平な裁判ではない」と強く主張しました。そして、「米国にとって公平な裁判を」と訴えて、弾劾管理人の冒頭陳述を締めくくりました。これはかなり効果的であったといえるでしょう。
一方、ホワイトハウス弁護団のセクロー氏は「(弾劾は)危険だ。危険だ。危険だ」というフレーズを冒頭陳述の中に数カ所組み入れて、情熱的に語りました。同氏の陳述は高得点を稼いだことは間違いありません。
さらに、弁護団を率いたパット・シポローネ法律顧問は冒頭陳述で、1999年のクリントン弾劾裁判で弾劾に反対したジェロルド・ナドラー下院司法委員会委員長(民主党・東部ニューヨーク州第17選挙区選出)及び上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務(東部ニューヨーク州)等の討論をビデオで見せました。そのうえで、「彼らは正しい」と皮肉交じりに語りました。当時、民主党議員は「弾劾は政治的武器である」と共和党議員に反論していたからです
シポローネ法律顧問は「弾劾ではなく、米国民が大統領に投票して決めよう」とアピールして、冒頭陳述を終えました。この終わり方も非常に効果的であったといえます。
では、今回の弾劾裁判で誰が勝者になるのでしょうか。米ワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査(20年1月20-23日実施)によれば、仮にトランプ大統領が弾劾されても罷免されなかった場合、10%が「民主党の勝利」、33%が「トランプ大統領の勝利」、51%が「どちらでもない」、6%が「分からない」と回答しました。この調査結果を見る限りでは、「引き分け」が過半数を占めています。
弾劾裁判は29、30の両日、
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