2022年8月18日(木)

Washington Files

2020年2月18日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

批判がある一方で、支持率も上昇

 こうした批判に対し、サンダース候補のチーフ・ストラジストを務めるジェフ・ウィーバー氏は「彼の政治資金の大部分は幅広い草の根支持を背景にした小口献金から成り立っており、他のどの候補よりも多額に達している。そのこと自体が彼の強みの証だ。ワシントンのエスタブリッシュメントはサンダースのこの力を怖がっているが、そもそも民主党がどっちつかずの中道路線をとったからこそ、前回選挙でトランプのような男にしてやられたのだ」と反論している(AP通信)。

 ではそのサンダース候補がこれまでの選挙戦を通じ、具体的に内外政策めぐり、どのような主張を続けてきたかを振り返る必要がある。

 まず内政だが、①中間、低所得者層向け住宅建設支援②家賃統制③所得格差是正④最低賃金引上げ⑤新設富裕者税⑥公立カレッジ授業料の無償化ーーなど、徹底した弱者救済の経済政策が中心だが、これら以外に最も関心を集めているのが、オバマ前政権下でスタートした医療保険改革「オバマケア」を改め、国民全員が国の運営する保険加入を義務付ける「国民皆保険」制度の導入だ。

 しかし、実現には莫大な資金を必要とし、中間所得者層の税負担増につながることから、ブティジェッジ、バイデン候補ら民主党中道派は、いきなり皆保険ではなく、現行制度の拡大や公営保険と民間保険のハイブリッド方式を提唱している。

 一方、外交・安全保障面では、①国防予算削減②アフガン、イラク、シリアなどからの米軍撤退③TPP(環太平洋経済連携協定)、USMCA(米・メキシコ・カナダ貿易協定)などの多国間協定に反対―などを表明、トランプ政権以上に「アメリカ・ファースト」の色彩が濃厚な内容となっている。

 これに対し、バイデン候補らは基本的に、対外コミットメントの維持、多国間貿易協定支持の立場であり、サンダース候補との間では大きな見解の相違がある。

 問題は、民主党内でサンダース路線に対する批判が渦巻いているにもかかわらず、サンダース支持率が勢いを増している点だ。

 キニピアック大学の最新全米支持率調査(2月10日)で、サンダース氏はアイオワ党員集会前の前回調査時から4%増え(25%)、バイデン(17%)、ブルームバーグ(15%)両氏より一歩抜き出て初めてトップとなった。

 マンモス大学調査(2月11日)でも、サンダース(26%)、バイデン(16%)の順でやはりトップを維持している。

 Real Clear Politics 調査(2月14日)でも、サンダース(25%)、バイデン(18%)と順位は変わらず、このままでいけば、23日のネバダ州党員集会でもサンダース氏勝利の公算が大きい。

 さらに弾みをつけサウスカロライナ州予備選(2月29日)、カリフォルニア、テキサスなど大票田州を含む14州で一斉に実施される「スーパー・チューズデー」(3月3日)でも勝利することになれば、サンダース氏の党指名獲得がいよいよ濃厚となってくる。

 7月13日、ミルウォーキー(ウイスコンシン州)で開催される今年の党大会で正式に党候補に指名されるためには、全米3979人の代議員のうち最低1990人の支持を得る必要がある。しかし、民主党全国委員会が最も懸念するのは、かりにサンダース氏が代議員獲得数1位で党大会に臨んだとしても、それまでに過半数に達していなかった場合だ。

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