2024年4月26日(金)

中国 覇権への躓き

2020年2月27日

 地方においては、地方政府、その傘下の非金融企業(国有企業や融資プラットフォーム)、金融機関のもたれあいの構造がこうした「隠れ債務」を増大させている。政府傘下の企業は、政府保証に依存する形で債務を増大させる傾向があり、資金を供給する金融機関は政府保証を背景に貸し出しを拡大する好機ととらえる。一方、地方政府にとって金融機関は地方債の主要な引き受け手だ。

 非金融企業部門の債務残高は18年3月末時点で約138兆7000億元に達している。この中には上記のような地方政府傘下の企業が少なくないと考えられ、最終的にはこうした債務も地方政府の債務として加えられる危険性もある。「隠れ債務」は社会科学院国家金融・発展実験室の推計では約30兆元にのぼる。

 一方、地方政府は歳入についても、構造的問題を抱えている。一番の問題は地方政府の総収入のうち、国有地の使用権の譲渡収入が4分の1程度を占めることだ。1990年代半ば以降、土地取引にかかる様々な権限が地方政府に移され、土地使用権の取引量や価格を地方政府が調整、管理できるようになった。これによって、商業用地の高価格を地方政府が故意に維持し、不動産価格の高騰を招いてきた可能性も指摘されている。

   (出所)中国財政部資料「財政数据」より筆者作成 写真を拡大

 不動産価格が下がれば土地使用権の譲渡価格も下がることになる。こうしたいつ弾(はじ)けるかわからない不動産収入に過度に依存した構造は、地方財政の持続可能性を考えても望ましい状況ではない。


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