2024年7月19日(金)

中国 覇権への躓き

2020年2月27日

 重要なことは、地方政府の事務(仕事)、権限、財源、責任をきちんと定義し、中央と地方、そして地方政府間の役割分担を明確化し、地方税制度を整えることである。それに伴う地方税法や地方財政法などの関連法規の整備も必要だ。しかしながら、地方行財政制度の整備、拡充は、地方の自治権限を増すという中央政府にとっての大きな問題があり、現在の中国の体制下では簡単に進められるものではない。

 地方税においては、地方債発行の原資、つまり地方政府独自の収入となる住民税や固定資産税といった基幹税の整備すら遅れている。また、主として富裕層が対象となる遺産税(相続税)・贈与税も未整備のままである。これらの税を整備するには、個人や企業が所有する資産の特定や、不動産をはじめとする資産の評価が必要になるが、いまだに進んでいない。これは、政策決定に関わっている人たちの多くが、こうした税制の整備によって税負担が増える可能性が高いことも、制度化の遅れに影響していると考えられる。

 今後、中国では少子高齢化がさらに速いスピードで進む。社会保障関係費は18年には約4兆2600億元となり、習政権発足後、5年で2倍弱に膨らみ、(13年は約2兆2800億元)、国家財政支出の20%近くまで拡大している。今後、高齢者の医療、年金、介護などの社会保障負担はさらに拡大することになり、大きな財政負担になることは避けられない。

 このほかにも、政府が推進する「新型都市化政策」や環境対策、都市・農村の格差是正や農民工(出稼ぎ労働者)への対応など、財政圧力の要因は枚挙に暇(いとま)がない。中国は、いよいよ構造改革を先送りできない状況を迎えている。

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