2022年8月8日(月)

WEDGE REPORT

2020年2月27日

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情報公開の徹底、丁寧に説明する報道機関

 2次感染を防ぐには、情報公開も人との接触を防ぐことと同じくらい重要なファクターだ。情報がないと人は恐れ、時に過剰な行動に走る。情報を公開すると逆にパニックになるという考えもあるが、知らせた方が知らせないことよりもうまくいくことの方が多い。

 日本では菅義偉官房長官と加藤勝信厚生労働大臣が連日、記者会見をしているが、香港政府は、林鄭行政長官のほか、政府ナンバー2の張建宗(マシュー・チョン)政務長官、食物及衞生局の陳肇始(ソニア・チャン)局長、医院管理局の何婉霞・總行政經理、衛生防護中心の張竹君・伝染病処傳主任など、関係する政府高官がどんどん会見を行い、情報を出している。ダイヤモンドプリンセス号の件では、税関や入国管理局に相当する入境事務所の曾國衞(エリック・ツァン)所長も会見に応じている。

 また、当該部局でのインターネットでの情報提供のほか、アプリも提供するなど情報提供に努めており、香港市民は常に新しい情報に接する事ができる。ほかの感染者のニュースでも、どこのマンションで暮らす人かなど、詳しい情報が報道される。個人のプライバシーもある程度さらされることにはなるが、「2次感染を増やしては意味がない」というのが香港全体のコンセンサスとして存在するため、大きな問題とならない。

 横浜港でダイヤモンドプリンセス号の取材に来ていた香港のテレビ局の取材クルーと話したが「情報が日本政府から伝わらない。出ても遅いし、内容も小出し。日本にいると不安になる」と吐露していた。香港は情報公開に努めているだけに余計そう感じたのだろうが、日本人として情けなくなった。

高値で売られるマスク。最近は市民に行き渡り価格が下降傾向にある

 一方、日本と同じような問題も発生している。マスクの品薄問題だ。大手ドラッグストアでは売り切れが続出し、ネットによる転売も発生している。一部の薬局では、独自にマスクを仕入れて高額で販売しているところもある。また、隔離施設について、既存の施設だけでは足りず、市民に開放する前の完成直後の公営住宅を一時的に利用するとか、一部の地区に隔離施設を増設するなどの案が出ると、たちまち市民からの反対の声が上がり、逃亡犯条例のデモと同じような光景が現れた。これも指定された地区に住む住民の気持ちはわかるが、どこかの地区が引き受けなければならない問題だ。

 すでにアメリカ、韓国、タイ、イスラエル、ブータンなどが日本への渡航を抑制しているが、日本人が武漢を見ている目と同じ目がいずれ日本に向けられてもおかしくはない。

 もし東京でパンデミックが起こった時、日本政府は都民が都外に出ることを禁止できるのか? 自分が感染した時にどこまで自分の情報を公開することを許容するのか? マスクの買い占めに走らないような落ち着いた行動ができるのか? 政府、国民を含めた、日本国としての総合力が問われている。

  
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