傾聴と共感
トムさんが訪問した低所得者のアフリカ系有権者に向かって、「トランプを破る候補が必要です」と語ると、全ての有権者が賛成しました。その上で、「バーニーは普通の米国人の見方です」と強調しました。
ある中高年のアフリカ系女性に最も関心のある問題についてトムさんが尋ねると、彼女はフードスタンプ(低所得者向け食糧購入制度)と回答しました。透かさず、筆者が「バーニーはフードスタンプの予算を削りません」と語りました。すると、トムさんは次のようにフォローしました。
「トランプは社会保障の予算を削りました」
トランプ大統領はアフリカ系の低所得者のような「弱者を切り捨てる大統領」というメッセージを送ったのです。
ちなみに、138軒回り、関心のある問題が北朝鮮やイランと回答したアフリカ系の有権者は「ゼロ」でした。
トムさんはサンダース候補支持を押し付けることは決してせずに、アフリカ系有権者の意見を積極的に傾聴し、共感していました。
「私は21年前に犯罪を犯し、刑務所に入りました。投票権も仕事もありません。人生に変化が欲しいです」
こう語ったアフリカ系女性に対しても、彼は耳を向け、「バーニーは社会に大胆な変化をもたらします」と勇気づけていました。筆者が投票権のない彼女に時間を費やした理由を彼に尋ねると、次のように答えました。
「彼女には婚約者がいます。娘もいます。彼女がバーニーについて婚約者と娘に語り、投票してくれるかもしれないからです」
学生ローンの債務帳消し
東部ペンシルバニア州からサウスカロライナ州のサンダース選対の応援に駆けつけた白人男性のカーソンさんは、戸別訪問の際、アフリカ系の若者に向かって次のように支持理由を説明しました。
「私には4万ドル(約435万円)の学生ローンの債務があります。バーニーは債務帳消しを政策に掲げています」
学生ローンの債務返済が最重要問題であるという30歳のアフリカ系の女性は、カーソンさんの意見に同感していました。
24歳のカーソンさんは、月に500ドル(約5万4000円)を返済しています。サンダース候補の学生ローンの債務帳消しの政策は、若者を確実に動機づけています。