2022年12月4日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年3月1日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

危険地帯

 西部アリゾナ州からサウスカロライナ州のサンダース陣営に加わった40歳の白人男性マットさんは、選対の中では「高齢者」に属します。ソフトエンジニアのマットさんと一緒に戸別訪問をするこになり、彼のレンタカーで標的となっている有権者が住む選挙区へ向かいました。

 選対から東へ5分ほど走り、ベネディクト・カレッジを通過し、さらに車で1、2分行くと、アフリカ系の低所得者が多く住む地域に入りました。この地域の子供たちが通うカーバー・リオン小学校の付近に車を止めました。

 校庭ではアフリカ系の子供たちが遊んでいましたが、その中に小学校3、4年生ぐらいの白人の男の子が1人いるのを発見しました。

 筆者は、なんとその男の子が、アフリカ系の男の子に地面に投げ飛ばされるのを目撃しました。その後、白人の男の子は自力で立ち上がると、1人で遊んでいました。「人種の融合は難しいのか」と思いながら、マットさんと標的の有権者の家に向かいました。

 まず1軒目のアフリカ系の男性は、サンダース支持を表明しました。そこで、筆者はマットさんに「とてもいいスタートですね。打率10割だ!」と語りました。ところが、2軒目目の有権者を回ったところで、マットさんがこう話しかけてきたのです。

 「モトオ、選対に戻ろう。この地域で戸別訪問をやるべきではない。隣人たちがぼくたちを見ている。ここで戸別訪問を1、2時間したら、彼らはその間に連絡を取り合うだろう。略奪にあうかもしれない。ここは地元の人間に任せるべきだ。しかも2人ではなく、4人で戸別訪問をすべきところだ」

 一言で言えば、危険地帯だということです。

 結局、マットさんとの戸別訪問は2軒で終了しました。この日はすでにカーソンさんと39軒の戸別訪問を実施していたので、合計41軒回りました。大抵の家が留守か、あるいは「決めかねている有権者」でした。「サンダース候補に投票する」ないし「サンダース候補に傾いている」と回答した有権者が7名で、「バイデン候補に投票する」と答えた有権者は1名でした。

  
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