2022年11月30日(水)

定年バックパッカー海外放浪記

2020年3月8日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

キリスト教会の『母の日コンサート』

 5月12日。東海岸の絶景海岸道路で花蓮をめざして走っていた。見晴台の近くの大きな屋根の東屋に人が集まっていた。数百人が集まって、コンサート会場のようであった。観客席の後ろには大皿や大鍋に入った料理が並んでいた。コンサートが終わったらビュッフェのランチをするようだ。

 聞くと地元長老教会の信者たちで母の日の記念集会という。台湾は17世紀にオランダの支配下でオランダの長老教会が熱心に布教したために現在でも長老派プロテスタントが多いらしい。

長老教会の『母の日コンサート』集会

 コンサートではボーカル、ギター、ドラムスのバンドが母の日にちなんだ曲を演奏していた。ボーカルが「家族の人はお母さんの手を握ってご唱和してください」と呼び掛けた。スクリーンに中国語の歌詞が映し出された。子から母へ感謝の言葉だ。

 ボーカルのリードで参加者全員が大合唱。感動的なメロディーであり、年老いた母親が感動ですすり泣く声があちこちで聞こえた。家族が集まって手を取り合って歌っている姿に心を打たれた。台湾では大家族という昔ながらの生活スタイルがいまだに健在であることを実感した。

台湾電力の論客が分析する“台湾人の介護意識”

 5月18日。礁渓温泉の個人経営のゲストハウスは豪華な別荘のような高級木材を多用した内装であった。夕刻一人の男性がチェックインしてきた。

 流暢な日本語で挨拶した。彼は50歳で国営台湾電力の幹部社員であり、台北に単身赴任しているので趣味のオートバイで週末を利用して東海岸を走っているという。

 彼は企画部門が長く、電力政策を研究するために何度も日本に出張して電力会社、経済産業省、エネルギー研究機関と交流しているという知識人であった。

 日本語・中国語・英語のチャンポンでおしゃべり。かねてから疑問に感じていた“なぜ台湾ではアジア系女性のマンツーマンの介護ヘルパーが多いのか”という問題について聞いてみた。彼のコメントは以下のとおりであった。

 「台湾では現在でも家族の絆が非常に強い。台湾人は伝統的に大家族で親子三代、四代が一緒に生活することが珍しくない。親を老人ホームのような施設に入れることを恥とする社会一般の風潮がある。

 しかし、子や嫁が老齢の親の介護に専念することは大変な労力と時間が必要となり不可能である。従って介護のために人を雇うことが昔から一般的であった。現在では台湾人ヘルパーさんの賃金も上がってきたので海外からの介護ヘルパーが増えている」

 筆者は彼のコメントを聞いて目から鱗であった。

(完)

  
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