立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2020年4月13日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

日本社会の危機感欠落、その原因とは?

 3月9日のフジテレビ系「直撃!シンソウ坂上」は、緊急生放送で行われ、マレーシアのクアラルンプール在住のシンガーソングライター・GACKTがテレビ電話を通じて、現地の状況や生活をレポートしながら、コロナ危機下の日本について、「言葉を選ばずに言っていいのであれば」と前置きしてから「狂ってますよ、かなり」と語った(『ロックダウン中のマレーシア在住のGACKT、日本は「危機感が足りない」「言葉を選ばずに言えば…」』4月10日付スポーツ報知)。

 日本社会の危機感が不足していることを、GACKTが指摘した。それは事実である。誰かが指示してくれるだろう、誰かが守ってくれるだろうという期待感が持たれるから、危機感に起源する自己防衛本能がなかなか作動しない。私はそう感じている。

 各国の新型コロナウイルス対応について、台湾前議員の沈富雄氏が日本モデルを取り上げこう酷評した――。

 「何すればいいか分からず、体裁すらなしていない。日本という国はいちばんダメなのは、優柔不断。当初から中国人観光客のインバウンドの利益を貪る一方、リスクにまったく無関心。ダイヤモンド・プリンセスの惨状に束手無策のまま、大国の風格貫録を完全に捨て去った。国土が広いだけに、これからの最善策は区域を画定し、台湾モデルを生かして取り組むことだ。あとは運任せのみ」(2月17日付台湾聯合新聞網)

 的を射た総括ではないだろうか。真の友人だから、本音を吐いてくれた。さらに、台湾人作家欧陽靖氏が日本のコロナ対策をこう分析した――。

 「日本人は、SOP (Standard Operating Procedure=標準業務手順書)民族だ。彼らは臨機応変、突発事件の処理に弱い。地震対応に強いのも、完璧なSOPがあって、職人的に反復練習しているからだ。日本国がここまで強くなって進歩したのも、国民の一人ひとりがSOPを守っているからだ。国家全体が順調に機能する機械であり、国民はみんな歯車になって応分の役割を最大限に果たしているからだ」

 「18年前のSARSはその当時の日本は(中国人観光客に)開放しておらず、幸運にも大きな被害に遭わなかったが、今回の新型コロナウイルスは様子が違った。問題に気付いたにもかかわらず、日本人は議論して有効な解決策を打ち出せなかった。疫病との戦いは時間との戦いだが、日本人はその本質を見失った」

 「WHOへの盲信と盲従も問題。WHOの提言に従って中国人観光客の入国を制限しなかったし、検疫官が防護服を装着せずダイヤモンド・プリンセス号に上船した。いずれもマニュアルや上司の指示に忠実に従った行動だったが、結果的にウイルスが拡散した」

 「でも、日本はこれで終了することはない。日本人は酷くやられて痛定思痛(痛みが収まってから痛みを思い出して今後の戒めにする)で、もっとも完全な疫病防止システムをもつ国になろう。同時に、このたびの災厄の実体験をもって、日本国民が目覚め、思考停止から脱出し、日本の腐り切った政治環境の徹底的改革に取り組むことを切に願いたい」(2月20日付、三立新聞網)

 耳の痛い批判だ。日本人は体験型学習やルール順守が得意だ。しかし前例なき危機に直面し、SOPたるマニュアルなき判断・行動を求められると、なかなかうまく即応できない。今回のコロナ危機は、多大な犠牲を伴う体験型学習になるかもしれない。

  
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