2023年1月30日(月)

Wedge REPORT

2020年4月14日

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なぜ対応が後手に回ったのか

 大統領周辺の危機意識は当初から薄かった。2月5日、トランプ政権当局者が議会で上院議員らに状況を説明した際、議員側から対策のための予算が必要ではないのかと問われ、政府にはウイルスを阻止する十分な予算があると応じたほどだ。議員の1人は「彼らは事態を深刻に受け止めていない」とツイートした。

 ホワイトハウスの補佐官や閣僚たちも対応をめぐって分裂していた。3月に入って、より強力な対策が不可欠であることが明らかになった時でさえ、対立は続いていた。大統領執務室での会議で、ムニューシン財務長官は外出自粛などの措置が経済を悪化させてしまうとして、強力な対応策への反対を主張し続けた。

 対して、ウイルスの拡散に懸念を示してきたオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は何も対応策を取らなくても経済は破壊されてしまうだろうと指摘して、対応策が必要であることを強調した。大統領は1月末の「中国人の入国禁止」では主導権を発揮したものの、経済活動に悪影響を与え、再選への阻害要因になるような外出禁止などには抵抗した。

 トランプ大統領はビジネス界の友人らの意見に応じ、国民に活動自粛を要求することを渋った。欧州からの入国禁止を発表した3月11日の時点でさえ、自粛措置を盛り込まなかった。しかし、病院は感染者であふれ、医療用マスクや防護服は欠乏していった。大統領に外出自粛の行動指針を出すことを説得したのはトランプ氏がエレガントと称してやまないエイズ治療専門家のデボラ・バークス博士だった。

 大統領は同16日、行動指針を発表したが、同時に4月12日の復活祭ころには外出自粛などの規制を解除したいとの考えをにじませた。しかし、3月の最後の週の会議の席上、コーンウエー顧問が復活祭に規制を解除することは不可能であると発言し、大統領にあきらめさせた。側近の1人によると、この発表の後、大統領は「静かになり、気が抜けたような状態になった」という。

  
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