2024年12月3日(火)

WEDGE REPORT

2020年4月15日

安倍首相「手洗いと睡眠で生活リズム」

 コロナと指導者の感染に話を戻す。

 日本で首相が感染した場合、どうするのだろう。緊急事態発動を説明する4月7日夜の記者会見で、このことをきかれた安倍首相は、「意識がある場合は自己隔離しながら、総理の職務を続ける。意識がなくなった場合、麻生副総理が臨時代理となり、一瞬でも遅滞が生じないようにしたい」と答えた。一方で「手洗い、睡眠時間を確保し、生活のリズムを守っている」とも述べ、感染防止に注意を払っていることを強調した。

 国会の論戦などの場では、不愉快な質問に対して居丈高になる首相も、この時は、神妙な表情。自らの感染がかならずしも非現実的ではないことを自覚、国民にも伝えたかったのだろう。

 首相臨時代理は麻生氏の次は菅官房長官となっているが、コロナの猛威を考えれば、閣僚のうちに何人かが感染する事態も荒唐無稽ではない。

 コロナ感染によって、実際に臨時代理が置かれるとき、その役割は、従来の首相外遊時などの時の〝留守番〟とは違う。首相の意向に沿いながら、緊急事態に対する重要な決定を迫られることも予想されよう。臨時代理に指名される閣僚は、首相と同様の決断力と指導力を求められる。

都知事が感染した時は?

 連日、大張り切りでメディアに登場している東京都の小池知事はどうか。

 都庁政策企画局総務課によると、これまでの記者会見などでは、知事が感染した時の方針に言及したことはないという。

 地方自治法152条では知事に事故があるときは副知事が職務を代行するーと規定されている。4人いる副知事のだれを指名するのかなど、具体的な体制について総務課に尋ねると、「すぐに答えられない。関係部局に問い合わせる」と心もとない答えが返ってきたが、後刻、「隔離された場所で執務する。できなくなったら副知事が職務を代行する」との紋切り型の回答が寄せられた。

 政府に強く働きかけ、緊急事態宣言決断させたのは小池知事の手腕によるところが大きいが、反面、知事は「ロックダウン」に言及して、ことさら都民を不安に陥れた。自らの感染の可能性も考慮に入れ、十分なバックアップ体制を整えてこそ、都民を安心させる早道だろう。

  
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