2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2020年4月18日

「今は何とか耐えられる」

 国民に対する外出抑制などの自粛要請については「日本国民は先週から今週にかけての状況を見ると外出をかなり自粛しており、相当抑制してきている。外国のように罰則はないが効果は出ており、自粛をするのが一番望ましい」と述べた。

 また、全国に拡大された「緊急事態宣言」に関しては「感染症の対策の基本は初めに過剰なくらいの対策をするのが大切だが、これまでは少しずつ広げる対策だった。今回、これを全国に広げたのは良いことで、感染者数が減ることを期待する」と指摘、政府の決定を歓迎する姿勢を示した。

 約2週間で死者が2倍に増えた現在の感染拡大のペースについて「いまは毎日500人ほど感染者が増えているが、何とかこれが下がることを期待したい。500人増えると、10日で5000人になる。このうち8割がほぼ無症状、このうち重症患者は2割の1000人とすると、このうち人工呼吸器が必要になる重篤患者が約百人くらいだろう。これくらいの増加には何とか耐えられる。その場合、軽症患者をホテルなどほかの場所に移して、重症患者の病床を確保する必要がある」と述べた。

 また感染者急増対策として欧米で進められている新たな施設への患者の収容については「病院だけで賄えなくなるだろうから、神奈川県で進められているような緊急に病院を作ることも考えなくてはならなくなる。感染者数の数がどこまで増えるかによるが、東京や埼玉は神奈川の例を参考に検討していかなければならない」と述べた。

オンライン診療は限定的

 高齢者や持病のない患者の中で重症化する患者については「この新型コロナウイルスは喫煙との親和性が高いと言われている。これを機会に禁煙を勧めたい」と指摘、喫煙者の重症化比率の高い点を挙げた。

 今週から新型コロナウイルスの初診でも認められるようになったオンライン診療については「オンライン診療は医師の利益のために規制されているように思われているが、患者の安全のために規制されている。医師は患者を初診で診て、聞いて、触って診断を決める。オンライン診療で画面の上で見て診断するのは限られる。何でもオンライン診療というわけにはいかない」と述べ、初診からオンライン診療を認めるのは感染予防の観点から新型コロナウイルスに限るべきだとの考え方を示した。

【横倉義武(よこくら・よしたけ)】1944年生まれ。69年久留米大学医学部卒業、80年同大学医学部講師、90年医療法人弘恵会ヨコクラ病院院長、2006年福岡県医師会会長、12年4月から日本医師会会長。福岡県出身。

  
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