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2020年4月18日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、日本医師会の横倉義武会長は17日、日本記者クラブ主催によるインターネットを使った講演で、「現在はまだ危機的な状況が続いており、油断はできない。感染者をできるだけ増やさせないことと、患者を重症化させないことが大切だ」と取り巻く医療環境が厳しいことを強調するとともに、「東京都が新しくPCR検査センターを作るのは、これまでとは違う検査の道が開かれたことになる」と歓迎する姿勢を示した。

(superoke/gettyimages)

検査体制に問題

 日本医師会は4月1日の段階で「医療危機的状況宣言」を発表、このままでは医療崩壊につながりかねないとして、政府などに検査体制の充実、医療資材の提供、治療薬の早期開発などを要望してきた。

 PCR検査については「2月から3月にかけて検査を増やす必要があると主張してきたが、検査体制の問題もあり、これまでは抑制的な検査で、なかなか検査件数を増やせなかった。もっと早い段階で十分な検査ができる仕組みが必要であった」と指摘した。

 「感染経路が分からない感染者が半分を超えた3月後半あたりからは、PCR検査を多くやる方向に切り替えた方がよかったのではないか」と述べ、検査体制の在り方に対して疑問点を挙げた。

 同時に「検体採取の時に必要なN95マスク、フェイスシールドなど医療用資材が不足し、検査を行う人員も十分足りていなかった。保健所の職員も抑制されてきており、私の地元の福岡県では20年前は保健所が20カ所近くあったが、いまは8カ所しかない。効率化された影響が出ている。恐ろしい感染症に対しては、常に準備しておかなければならない。その点で今回の新型コロナウイルスへの対応では我々は反省しなければならず、危機意識を持たなければならない」と自らに言い聞かせた。

 東京都で開設されるPCR検査センターについては「今週末までに都内で10カ所作られる。このほかドライブスルー検査をしている新潟、さらに大阪、福岡、埼玉でもセンターを作る取り組みが行われる。そうなれば検査も今まで以上にスムーズに進むようになるのではないか」と指摘した。

 さらにPCR検査結果が出るまでに時間が掛かることから、短時間で検査ができる検査キットの開発の必要性を強調、「島津製作所で開発が進められている検査キットを早く承認して使えるようにしてほしい」と訴えた。

 過去に新型コロナウイルスに感染したかどうかを確認でき、体内に侵入したウイルスなどを攻撃する抗体があるかどうかを調べられる抗体検査については「検査の精度の問題がいくつか課題としてあるが、早く十分な検査ができるような仕組みを作る必要がある」と述べた。

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