海野素央の Love Trumps Hate

2020年5月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

22日、退役軍人のメモリアルデーである「Rolling to Remember Ceremony」で、ホワイトハウスに集ったバイカーたちの前で演説するトランプ大統領(AP/AFLO)

 今回のテーマは、「トランプのWHOへの書簡をどう読み解くか」です。ドナルド・トランプ米大統領は5月18日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長宛てに送った4ページにわたる書簡を公表しました。

 トランプ大統領はどのような方法でこの書簡の「宣伝効果」を高め、テドロス氏に圧力をかけたのでしょうか。そして、どのようなメッセージを誰に対して発信したのでしょうか。本稿では、書簡の「タイミングと見せ方」「構成」及び「本当の目的」の視点から分析します。

タイミングと見せ方

 トランプ大統領は同月18日午後10時55分(米東部時間)、WHO年次総会の際中にテドロス事務局長宛てに書簡を送りました。WHO全加盟国の代表が注目する最高のタイミングを狙いました。テドロス氏に最大のショックを与えるタイミングであることも確かです。

 しかもトランプ大統領は支持者に対する「宣伝効果」を高めるために、自身のツイッターでこの書簡を公表しました。その際、「自明だ!」と投稿しました。

 約8015万人のフォロアーに対して、新型コロナウイルス感染拡大の責任がテドロス事務局長と中国にあるのは「改めて説明するまでもない」とつぶやいたのです。

「書簡の構成」

 書簡の構成に注目してみましょう。トランプ大統領は冒頭からWHOが中国寄りで独立性に欠け、新型コロナ対応に失敗した点を指摘しています。即座に「要点」から入ることにより、テドロス事務局長に先制パンチを浴びせました。

 次に、米国が握っている14の「エビデンス」を時系列的に並べて、テドロス氏と中国の「蜜月関係」を非難しました。例えば、「WHOは2019年12月初旬に武漢で新型コロナウイルス感染が拡大しているという信頼ある報告を一貫して無視した」というのです。

 さらに、北京にあるWHOの事務所は12月30日までに、武漢で「深刻な公衆衛生」の懸念があることを認識していたと記述しています。

 トランプ大統領は書簡で、WHOと中国、台湾の関係についても言及しました。「台湾当局は人と人との間で感染する新型ウイルスに関する情報を提供したが、WHOはこの重要な情報を政治的理由のために他国と共有しなかった」と述べています。

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