母子世帯になった理由は、離婚が約8割で、死別は1割である。非婚の母も増え続けている(6.7%)。(2006年。ちなみに1983年では離婚は5割、死別は4割だった)
低年齢での離婚が増え、3割が20歳代で母子世帯になっている。
一人親になった時の親の年齢は1998年の34.7歳から2003年33.5歳、2006年31.8歳と年々下がっている。しかも一人親世帯なった時、末子の年齢も「5歳以下」という世帯が増加している。
最近、全国で10代の母親に出会ったが、その母親たちも同じように10代でその子たちを産んでいた。最初の夫(恋人)がそのまま続くことはほとんどなく、次の夫(恋人)との間でまた子どもが生まれる。夫も若く、経済力も養育能力も乏しいケースが多い。
筆者は、『ドキュメント高校中退』(ちくま新書)を書いた2008年頃から、高校を中退した多くの若者たちの聞き取りをしたが、妊娠・出産が中退の原因になったケースも多いが、中退した後、10代後半で出産したケースも多かった。
「貧困になることがわかっていて、なぜ生むのか?」
しかし、こんな若者たちへの社会の「まなざし」は厳しい。
最近、ある行政組織で講演した際、「貧困になることがわかっているのになぜ、中絶しないで、10代で産むのか?」ということを聞かれたことがある。
答えは他の参加者からでた。
「よりどころが欲しいのです。だれか、なぐさめてくれるものを。精神的に不安定な人にとって(自分が愛することができるもの(人)が欲しい)」
幸せを知らなくて生きてきた人たちにとって、幸せを与えてくれると思える人にそばにいて欲しいと思う。たとえそれが、期待を裏切ったとしても……。
ひとり親世帯の母親たちが安心して働くためには、子育てへの応援が欠かせない。
しかし、子どもが病気になったら、ほとんどの母親は仕事を休む。パート・アルバイトがほとんどで、給与がカットされたり、病気が長期になると解雇のおそれも付きまとう。
世界的にも目立つ
日本の母子家庭の就労率の高さ
ひとり親家庭になる前に〈専業主婦〉であったケースは35.7%だが、ひとり親家庭になった後は〈専業主婦〉は6.0%に激減する。代わりに、パート・アルバイトが30%から60%に倍増する。いったん退職した後、元のような正規職に再就職することは極めて難しい。