2022年8月18日(木)

Washington Files

2020年8月10日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

それでも正当化するトランプ

 一方、トランプ大統領はこうした厳しい批判とは対照的に、これまでの政府対応を正当化する発言やツイッター発信を続けている。

 先月末以来、コロナ感染による1日当たり全米死者数は9日連続で1000人を突破するなど深刻な状況が続いているが、大統領は去る4日放映されたデジタルメディア「Axios」とのインタビューで「感染者が多いのは、どの国より多くの検査を実施しているからだ」「多数の死者が出ていることは確かだが、われわれがやるべきことを怠っているわけではない。

 アメリカでのコロナウイルスはうまくコントロールできている」などと明らかに事実と反する発言に終始、その余りにも現実遊離した認識ぶりは他のメディアでも大きな話題となるほどだった。

 各種世論調査によると、投票日まで3カ月を切った大統領選の最大関心事は、与野党問わず「コロナ危機早期収拾」で一致しており、これまでの政府対応評価については、民主党支持者の90%前後、共和党でも45%程度が「不満」「不信」を表明している。トランプ氏の最大のセールスポイントである「経済」はコロナ問題に有権者の関心を奪われ、これまでのところ、バイデン民主党候補を相手にした主要争点とはなっていない。

 それでもトランプ陣営は、今後の経済動向が勝敗のカギになるとみて、選挙前までの景気の「V字回復」に最後の望みを託している。

 今後の景気回復の動向を占う一つの指標が、コロナ感染拡大以来、3000万人近くにも達した失業者数の推移だ。

 米労働省が7日発表した7月の雇用統計によると、失業率は10.2%となり、3カ月連続で改善した。同月の新規雇用も180万人増となった。ただ、480万人増だった前月と比較すると、回復ペースは明らかに鈍化傾向を示しており、大きな痛手を受けている航空業界などを中心に、8月以降、失業保険申請者が一段と増加する可能性が高い。

 失業者の増加は、米国経済の7割以上を占める個人消費拡大に水をさすことになるため、果たして、短期間のうちに「V字回復」が期待できるかどうか、微妙な段階に入りつつある。

  
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