2024年4月24日(水)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年9月3日

勝負を決定づける一言

 結局、有権者は討論会を通じて2つのタイプのリーダーを観ます。暴動を力で抑える「強いリーダー」と、人々の心の痛みを「ケアするリーダー」です。

 前述しましたが、トランプ大統領はバイデン氏を「犯罪に弱いリーダー」としてレッテルを貼り、同氏には暴動を抑える能力がないという印象を有権者に与えます。その目的を達成すれば、トランプ氏は選挙戦の流れを大きく引き寄せるでしょう。

 一方、バイデン氏は現職大統領は新型コロナウイルスのみならず、暴動もコントロールできないと議論し、有権者を説得できれば勝利に近づきます。

 1980年米大統領選挙におけるテレビ討論会では、現職のジミー・カーター大統領(以下当時)に対して、ロナルド・レーガンカリフォルニア州知事が最終弁論で、有権者に向かって「投票場で票を行う前に、4年前と比べて暮らしがよくなったのか考えてください」と問いかけました。高いインフレ率と失業率に米国は直面していたからです。この一言が選挙結果を決定づけたと言われています。

 バイデン氏は最終弁論で「投票をする前に、4年前と比べて米国は安全になったのか考えてください」と問いかけるチャンスを得ています。そのチャンスを活かせるのかが、バイデン氏が現職大統領を破る最大のポイントになります。

  
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