中東を読み解く

2020年9月15日

»著者プロフィール

東地中海の資源争いに波及も

 トルコの軍事プレゼンスの拡大は東地中海を舞台にしたギリシャとの海底資源争いでも目立っており、南欧の欧州連合(EU)加盟7カ国がトルコに対して新たな制裁を検討するまでになっている。フランスのマクロン大統領は「トルコはもはや地域のパートナーではない」と批判している。

 東地中海では近年、天然ガス田が相次いで発見され、沿岸諸国による争奪戦が激化している。中でも、ギリシャ、キプロス、イスラエルはイスラエル沖で採掘した天然ガスをパイプラインで欧州に送り込む計画を推進しており、このプロジェクトから外されたトルコが反発、リビアとの間で排他的経済水域(EEZ)の境界線で合意したのも、計画を阻止するためだ。

 トルコには元々、ギリシャに海洋権益を不当に邪魔されているとの不満が強く、最近では独自の海底資源探査を進めてきた。しかし、トルコの探査地域はギリシャが領有を主張する大陸棚と重複するため、両国の緊張が高まった。8月には、両国のフリゲート艦の接触事件やトルコ軍機がギリシャ軍機にスクランブルをかける緊迫した事態に発展した。

 こうした緊張激化を受け、ギリシャは防衛強化のためこのほど、フランスから戦闘機18機の購入を発表した。ニューヨーク・タイムズがイスラエルの元国家安全保障会議の高官の話として報じるところによると、UAEがF16戦闘機部隊をギリシャに配備したとされ、アラブ世界でのUAEとトルコとの対立が東地中海にも持ち込まれた格好だ。イスラエルはアラブ諸国との和解の結果、自分たちが反トルコ同盟の矢面に立たされることになるのではないか、と懸念している。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る