日本一回転率悪いカフェとして宣伝
同社が睡眠の質を上げることができると力を入れる寝室環境だが、家を建てる人からの関心は低いという。「家の間取りを決めていく時は、まずはリビングやキッチンの話をして、寝室は最後。もう『なんでもいい』『お任せします』といった言い方がほとんど」と金光社長は話す。
家を建てる基準になかなかされない寝室に、どう注目させて、付加価値をつけたものを選ぶようにしてもらうか。営業面での課題もあった。
そこで、「きれいな空気は言葉で伝えられない」を逆手にとった。言葉で伝えられないのなら、体験してもらえばいい。「身体でジャッジしてもらったら、違いがわかる」。金光社長には自信があった。
「泊まれるモデルハウス」として、家を建てようと考えている家族に一泊してもらう。生まれたばかりの子どもが夜泣きしなかったら、こっちのものだ。「理想の寝室」の環境を提供した赤ちゃんカフェも運営し、居心地の良い雰囲気で親子連れに長居してもらおうと図り、「日本一回転率の悪いカフェ」を目指している。
同社は、銚子電鉄(千葉県銚子市)の宿直室をリフォーム。東京や大阪、福岡、岩手、栃木の5都府県の住宅会社とパートナー契約を締結し、寝室のリフォームも手掛けようとしている。また、新型コロナウイルス禍で需要が高まると見込まれる自宅の仕事部屋を「究極のテレワーク室」へとしていく野望も持っている。
「寝室の暗さや静けさ、室温はもちろん大事ですが、やはり空気で質が大きく変わると思います」。金光社長は経験から語る。就寝する時の「空気の状況」というものに多くの人が注目する時が来るかもしれない。
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