コロナ感染後も支持率は好転せず
しかし、大統領自らのコロナウイルス感染が判明した10月にはいってからも、大統領支持率が好転した兆候はほとんど見られない。
ニューヨークタイムズ紙が去る今月7日、Siena Collegeと合同で実施した調査によると、「バイデン支持」45%対「トランプ支持」44%だった。
各種世論調査をまとめたReal Clear Politicsの最新評価(9/17-10/6)でも、「バイデン支持」46.8%対「トランプ支持」46.2%と、横並び状態のままとなっている。4年前の選挙で、トランプ氏が同州で8%もの差をつけ勝利したのとくらべ大きな違いだ。
オハイオ州はじめ中西部では、今月に入り大統領のコロナ感染以来、無党派層を中心にトランプ氏への「同情票」増加が一部で予想されていたが、実際にはほとんど変化は見られなかった。
加えてトランプ陣営が懸念するのは、同州で人口増加率の高い「3C」で知られるクリーブランド Cleveland、シンシナティ Cincinnati およびコロンバス Columbus の3都市周辺地域でバイデン候補が支持を広げつつあることだ。トランプ支持票は同州農村部に集中しているだけに、決して楽観は許されない。
バイデン候補は、先月30日、選挙運動を立ち上げて以来初めて、汽車で同州東部の工場労働者の多い「ラストベルト」地帯を時間をかけ訪問、出迎えた支持者たちに熱心に投票を呼びかけた。同時にローカルTVおよびラジオ局を通じ、トランプ政権下の失政ぶりを批判する選挙広告を集中的に流し始めている。
こうした中、トランプ陣営がつい最近、オハイオ、アイオワ両州での放映を予定したTV選挙広告を急遽キャンセル、費用を「サンベルト激戦州」のアリゾナ、フロリダ、ジョージア3州での広告に回したことが報じられ、その真意に注目が集まっている。
トランプ陣営は終盤に近づくにつれ、選挙資金のひっ迫も伝えられる中、前回大統領選でトランプ氏が勝利したこれら3州でも、バイデン候補が互角の戦いを進めつつあることから、TV広告計画の突然の変更は、資金面での苦肉の策と見られている。
土壇場で、中西部と南部に選挙資金分散を強いられたことで、トランプ陣営の体質の弱点が露呈しつつあるようだ。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。