2022年7月1日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年10月22日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

政策論争よりもハンター

 新型コロナウイルスから回復したトランプ大統領は、支持者を集めた大規模集会で、「米国史上最大のスキャンダルは、前回の大統領選挙でオバマ政権がトランプ陣営に対してスパイ活動をしたことだ」と、語気を強めました。トランプ氏は「次に大きなスキャンダルは、バイデン一族の腐敗だ」というのです。

 トランプ大統領は集会で、ハンター氏を「仲介役」及び「人間掃除機」と呼びました。ハンター氏は父親とウクライナ及び中国の仲介役になり、掃除機のように金を吸い取ったと主張しました。

 テレビ討論会においてトランプ氏は大衆紙であるNYポストに掲載された記事を持ち出すでしょう。ハンター氏が自分が役員を務めていたウクライナのエネルギー会社の顧問に父親を紹介したという内容です。

 バイデン前副大統領はこれまでハンター氏と海外ビジネスについて語ったことはないと主張してきました。従って、討論会でトランプ氏は記事の内容とバイデン氏の発言は矛盾していると突いてきます。

 ただ、NYポスト紙は情報源がトランプ氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長であると明かしました。ジュリアーニ氏はトランプ氏の討論会のアドバイザーでもあります。

 NYポスト紙の記事は信憑性が低いかもしれませんが、トランプ大統領はこの記事を利用して、「バイデン一族は犯罪組織だ」「バイデンは犯罪者だ」と主張するでしょう。1回目の討論会よりもトランプ氏はハンター氏を厳しく追及することは確かです。

 最終戦で不利な状態にあるトランプ大統領には、ハンター氏の問題を利用して、劇的な「ゲームチェンジャー」を起こす狙いがあります。

 前回の討論会でバイデン氏は、「討論会は家族の問題ではなく、皆さんの問題について討論する場だ」と反論しました。今回の討論会で、バイデン氏はNYポスト紙の記事の情報源がジュリアーニ元市長である点を指摘し、トランプ陣営の「陰謀論」という印象を与える戦略をとるに違いありません。

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