海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年11月13日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

トランプはなぜ敗北宣言をしないのか?

 バイデン前副大統領は20年5月、米ケーブルニュースMSNBCのインタビューで、「もし大統領になったらトランプに恩赦を出さないし、捜査の邪魔もしない」と述べました。ただこの時、バイデン氏はトランプ氏が、同年11月の大統領選挙で7200万票も獲得するとは想像できなかったでしょう。

 トランプ大統領は大統領特権によって守られていますが、敗北宣言を行うと、来年1月20日に民間人になります。周知の通り、トランプ氏には中国における秘密口座、大統領の地位を利用した利益誘導、不倫女性に対する「口止め料」など、実に様々な疑惑が存在します。

 仮に起訴され有罪になった場合、トランプ大統領は恩赦が必要です。そこで、トランプ氏が敗北宣言と恩赦の取り引きを、水面下でバイデン陣営にもちかける可能性は決して否定できません。つまり、敗北宣言を恩赦を得るためのディールの材料にする訳です。

 分断社会の融合を目指すバイデン前副大統領は、7200万人のトランプ支持者を軽視できないことは明らかです。バイデン氏にとっても、「敗北宣言と恩赦のディール」は魅力的なはずです。

 ただ、バイデン氏は社会の団結と共に、民主党内の融合という問題も抱えています。特にアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(東部ニューヨーク州)を先頭に、左派がトランプ氏の恩赦に猛反発することは確かです。

 加えてバイデン氏と同じ民主党中道穏健派で、同氏のスタッフであったジェリー・コノリー下院議員(南部バージニア州)は、筆者の取材に対して、「バイデンがトランプに恩赦を与えることはあり得ない」と明言しました。

 仮にバイデン陣営が恩赦に関して探りを入れても、トランプ陣営は肯定的な回答を得られず、ディールは不発に終わるかもしれません。

  
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