Washington Files

2020年11月23日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

行き場がいよいよなくなりつつある

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙によると、大統領は選挙後、感染者1200万人、死者25万人を突破、今冬に向けてさらに悪化が予想されるコロナ国内感染状況については、側近たちとの会話の中でもほとんど口にせず、コロナワクチン開発の話題以外、無視し続けている。閣議も一度も開かれたこともない。

 他方で、21日付ワシントン・ポスト紙は最近、大統領と直接言葉を交わした「某顧問」の話として、大統領は内々には「敗北」を前提とした発言も見られ、3週間以内にも2024年大統領選出馬計画を発表、それによって、有力候補と目されているペンス副大統領、ポンペオ国務長官、ヘイリー前国連大使らの動きを「凍結」する意向だと伝えた。

 「bunker mentality」には、「排他的な自己防御と、批判を受け入れない独善性が特徴の精神状態」との和訳もある。まさに最近のトランプ氏の振る舞いがそれにあたる。

 トランプ氏は21日現在、敗北を認める姿勢は一切見せず、ツイッターでは相変わらず「自分が勝利者だ」「選挙を盗まれた」などと、根拠のない強気の発言を連日のように繰り返している。

 それどころか20日には、ミシガン州議会のマイク・シャーキー上院院内総務、リー・チャットフィールド州議会議長(いずれも共和党)らを急遽、ホワイトハウスに呼び寄せ、すでに自分の敗北が明らかになっている同州開票結果を認めないよう直接圧力をかけた。

 しかし、会談後、両氏は報道陣向けの声明で「バイデン勝利」の確認こそしなかったが「票の確定作業は州法に従って入念に行われており、開票結果を覆すような情報も承知していない。われわれは確定作業に介入することは断じてしない」と言明、大統領としての面目をつぶされる結果となった。

 20日には、やはりトランプ陣営が選挙結果の異議申し立てをしていたジョージア州で、州務長官(共和党)がバイデン氏の勝利が判明した開票結果について「公式認定certification」宣言を行い、トランプ氏にとって痛烈な打撃となった。

 続いて21日には、ペンシルバニア州において不正があったとして数百万票について「無効」を主張していたトランプ陣営の訴えに対し、同連邦地裁判事が「根拠なし」として却下、州政府に対し、勝敗が確定した投票結果の「公式認定」を急ぐよう促した。

 同様に、トランプ氏の敗北が明らかとなったアリゾナ、ウイスコンシンなどの州でも、「選挙不正」の訴訟が棄却されるケースが相次いでいる。

 “塹壕”にこもったままのトランプ氏の行き場がいよいよなくなりつつある。

  
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