さらに、中国も、秋に予定される党大会までは、米国に対して強面の姿勢を続けるでしょうから、ロシアは中国と提携しやすい状況にあります。
とはいえ、実際は、ロシアの力には限界があります。外資を大々的に入れでもしない限り、プーチン新政権の掲げる経済の近代化、石油依存からの脱却はできないからです。そして、プーチン新政権の陣容を見ると、国内利権の調整、石油への過度の依存を断ち切るための経済改革を強力に進めることのできる実力者が見当たりません。
したがって、ロシアの外交は基本的には、米国経済のリーマン危機からの立ち直り具合、ユーロ危機の帰趨、原油市場の動向、NATOの関心がコーカサス地方(とりわけ、人権・民主化の観点)に向くかどうか、といった諸条件に縛られた中でできる限定的なことから最大限の宣伝効果を上げていく、ということしかできないでしょう。
世界のマスコミは、米国大統領選挙、中国共産党大会までは、「プーチンの強面外交」を大げさに報じ、あれこれ議論するでしょうが、ロシア外交の実力の度を冷静に見定めていくべきです。
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