2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2021年5月20日

スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない

 ベトナムでは3月からワクチンの接種が始まっているが、1回目の接種を終えた人は5月15時点で100万人に満たず、日本の5分の1程度に過ぎない。にもかかわらず、感染者数を抑制できているのは、厳格な水際対策のおかげである。

 日本も以前から入国者に対し、2週間の“待機期間”を設けてはいる。だが、ベトナムのように指定施設で隔離されるわけでもなく、本人の「自主性」任せた“待機”要請に過ぎない。

 今年1月に首都圏の1都3県に緊急事態宣言が発令される以前は、ベトナム人などの実習生や留学生はPCR検査すら受けず入国できていた。ベトナム出発前も、そして入国後も検査が全く課せられないのだ。11月、東京都内の日本語学校に留学するため来日したベトナム人女性は、筆者にこう話していた。

 「アパートまで、やろうと思えば電車やバスで移動できました。2週間の待機中は、スマホに入ったアプリを通じ、私の居場所がチェックされることにはなってはいた。でも、スマホを部屋に置いていれば、外出してもわからない。私も買い物などで、普通に出かけていました。ベトナム(の水際対策)とはあまりに違うので、心配になったほどです」

 事実、最近になって「1日最大300人」が自宅などでの待機要請に従っていなかったことが判明している。こうした甘い対応が、昨年末から年明けにかけての感染拡大をもたらした可能性が高い。

 政府が昨年6月から一部外国人に実施してきた入国制限緩和措置こそ、1月の緊急事態宣言によって停止された。だが、外国人の入国が完全に止まったわけではない。日本政府観光局(JNTO)が発表している「訪日外客数」によれば、今年3月には推計値で1万2300人の外国人が来日している。その中には、2月下旬から変異株の感染が急速に拡大していたインドからの700人も含まれている。

 政府がインドを「新型コロナウイルス変異株の流行国・地域」に指定したのは、4月28日になってからのことだ。しかし指定を受けても、入国当初の3日間を指定の宿泊施設で過ごす必要があるだけだ。入国後の3日目にPCR検査を受け、陰性ならば解放され、自宅などで2週間“待機”すればよい。

 ベトナムの場合、「2週間」の隔離でも危ないと判断し、強制的な隔離期間を3週間に延長した。それと比較し、3日間の隔離はかなり甘い。


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