2024年6月17日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年5月25日

「緻密さ」と「チーム外交」

 米NBCニュースのベテラン記者であるアンドレア・ミッチェル氏は、バイデン大統領がバラク・オバマ元大統領とネタニヤフ首相の「冷たい関係」を熟知していたと語りました。そのうえで、バイデン氏がネタニヤフ氏をコーナーに追い詰めないように細心の注意を払った点を停戦合意に至った要因の1つに挙げました。ネタニヤフ首相との関係悪化を回避しながら、圧力をかけたというのです。

 仮にバイデン氏が「静的な外交」を選択せずに、目に見える形でネタニヤフ氏に集中的に圧力をかけ、イスラエルが屈したという印象を世界に与えていたならば、停戦合意には達しなかったでしょう。ここにバイデン氏の「緻密さ」をみることができます。

 ちなみに、米ギャラップ社の世論調査(21年2月3~18日実施)によれば、「イスラエルとパレスチナのどちらに同情しますか」という質問に対して、米国民の58%がイスラエル、25%がパレスチナと回答しました。ただ、18年の同調査と比較すると、イスラエルに対する同情は6ポイント低下したのに対して、パレスチナは逆に6ポイント上昇しました。バレスチナへの同情が増加しています。

 さらに、「米国はイスラエルとパレスチナのどちらに圧力をよりかけるべきだと思いますか」という質問に関して、共和党支持者の65%がパレスチナ、民主党支持者の53%がイスラエルと答えました。バーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)を中心にリベラル派議員は、イスラエルに対する7億3500万ドル(約800億円)規模の武器供与に反対しています。民主党のバイデン大統領は、ネタニヤフ氏に武器供与を約束し、それをテコにして譲歩を引き出したのかもしれません。

バイデン氏はホワイトハウスでの記者会見で、停戦合意に至ったのは、自分1人の力ではなく、ロイド・オースティン国防長官、ブリンケン国務長官やエジプトのアブデルファタハ・シシ大統領を含めたチームの力にあると述べ、メンバーを褒めたたえました。「チーム外交」も「バイデン・ドクトリン」の1つと言えます。


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