『ペリリュー 楽園のゲルニカ』
藤津さんが今後期待する「直球」の作品があるという。この4月に雑誌連載が完結し同時にアニメ化も決定した武田一義氏の『ペリリュー 楽園のゲルニカ』である。
1944年11月。ミクロネシアのペリリュー島で、漫画家志望の兵士が巻き込まれた狂気の玉砕戦をリアルに描いた作品だ。
しかし、世界の軍事費が、コロナ禍にもかかわらず昨年過去最高額に達した現状のことなどを考えると、「戦争を描く」という場合、もっと別なアプローチはないものかと思う。
「戦争抑止には外交、話し合いしかないと思いますが、それがテーマのアニメ作品は?」
「うーん、おっしゃることはわかりますが(笑)、アニメの技法は動くものの描写に適していますからね。会話シーンの連続でどのくらい画面が持つか……。
主人公のある側面を描くために外交戦を繰り広げる、というやり方は可能だと思いますが」
アニメは基本的にエンタメなので、国際関係を学園内の人間関係等に置き換えれば、できないことはない、と藤津さんは言う。
「外交、話し合いによる戦争回避を前面に押し出したアニメ作品は、これまで見たことがありません。でも、挑む価値はありそうですね、ハードルは高いですけど」
戦争アニメには、未知の「伸びしろ」もまだありそうなのだ。
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