田部康喜のTV読本

2021年7月11日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(aruba200/gettyimages)

 「ボクの殺意が恋をした」(読売テレビ制作、日曜よる10時半)は、育ての親である兄貴分・藤木直人が殺された、中川大志が犯人であるテロ組織の黒幕である、うれっこ漫画家・新木優子の命を狙う、「サスペンス・コメディ」ともいうべきドラマである。

 「LIFE!~人生にささげるコント~」(NHK)のレギュラーとして、いわゆる“座長”の内村光良のもとで鍛えられた、中川のコメディタッチの演技がさえる「ラブ・コメディ」でもある。美貌の新木優子とのやり取りは楽しませてくれる。

 脚本は、日本アカデミー賞の各賞をそうなめした「翔んで埼玉」(2019年、武内英樹監督)をてがけた、徳永友一である。ドラマでも、「僕たちがやりました」(2017年)や「ルパンの娘」(2019年)など、異色のヒットを飛ばしてきた。今回の「ボクの」にも、期待が高まる。

 清掃会社の社長の男虎丈一郎(おのとら・じょういちろう、藤木直人)のもとに、両親が亡くなったことから引き取られた、男虎柊(おのとら・しゅう、中川大志)は、幼いころから理由がわからないままに、丈一郎からさまざまな訓練をさせられてきた。

 「世の中は、危険に満ちている。危険を回避しろ」というのが、丈一郎の口癖だった。

 営業用の車のフロントガラスを、右手で洗いながら、左手でふき取る。壁のペンキを塗る時も左右の手が交互に使えるようにする。そして、格闘技である。

 柊(しゅう、中川)は、幼いころから間が悪い。小学校の卒業式では、壇上に上がって誤って校長の頭の毛をつかんで、かつらであることをばらしてしまう。運動会のリレーのアンカーになって、飛んできたハチをよけるうちに、ハトの糞が目に入って、保健室に運ばれてしまう。

 丈一郎(藤木)は、そんな柊を心配しながらも、一人前の男に成長したことをよろこんでいる。ある日、丈一郎は日ごろの作業服とはまったく異なる、上等の背広を着て、柊の前に現れて「俺は今日で引退する。いい女をみつけて、第2の青春を過ごす」と、会社を去っていく。

 しかし、丈一郎は拳銃で撃たれたうえに、埠頭から海に落とされて死ぬ。職場の清掃会社にしょっちゅう顔を出している、警視庁の生活保安課の職員を名乗る、綿谷詩織(水野美紀)によって、丈一郎の秘密が明かされる。

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