習近平が展開している反資本主義キャンペーンは習政権の将来を左右するものだが、危険に満ちている、と10月2日付の英Economist誌の社説が論じている。
習近平が資本主義行き過ぎ一掃のキャンペーンを行っているが、その範囲と野心は壮大だ。2020年、当局がアリババ傘下のアント・グループの新規株式公開を阻んだのが最初で、以来、タクシー配車サービスDiDiは米国で株式を上場して罰せられ、巨額の負債を抱える恒大集団は債務不履行に追いやられつつある。暗号通貨による為替取引も、学習塾も、事実上禁じられた。
習のキャンペーンは中国経済を脅かし、恒大等、企業の債務問題の追及が引き起こす痛みは予測不能な広がりを見せつつある。締め付けは企業活動を難しくし、利益を上げにくくしている。これらはみな中国経済を破裂させる可能性さえある。そうでなくても、既に中国経済はインフラ投資の利益縮小、労働人口の減少、高齢者の増加等で圧迫されている。
政治面では習のキャンペーンは個人崇拝に陥る危険性がある。習は変革を実現すべく毛沢東以降、最大の権力を掌握し、来年の第20回党大会では三期目の続投を目指す。習はイデオロギー的締め付けの基盤と主席続投の根拠を作ろうとしているが、これらは中国の将来にとって危険を孕んでいる。
中国共産党の抱える根本的矛盾は、政治と経済の矛盾である。毛沢東は経済を無視して失敗した。鄧小平は、経済を基本に据え、政治の干渉を減らすことによって驚異の経済成長を実現した。習近平は、政治の復権を図っているが、経済を無視することもできない。その矛盾のまっただ中にいる。