佐々木先生:11月22日は「いい夫婦の日」と言われていますね。パートナーとの関係をより良いものにするためにご相談があるとお聞きしました。
困ったさん:わが家は共働き家庭で、家事を夫婦で分担しています。夫はわりと協力的ですが、決められた簡単な作業を引き受けるだけで、新たな家事を覚えようとしてくれません。
佐々木先生:日本では家事を女性に大きく依存しているのが現状です。国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」(2019年)によると、家事の総量を100としたとき、その83.2を妻が担っていて、夫が担うのはたった16.8だそうです。
また、夫は「ゴミ出し」や「食後の片づけ」など単純な家事を担うことが多く、「炊事」「部屋の掃除」といった段取りや計画性が必要なものに取り組むことは少ないようです。
困ったさん:わが家がまさにそうです!
佐々木先生:新しいことをやり切るには、予め準備をし、計画を立てる必要があります。そういう作業には、時間や認知的負担が伴いますよね。これは『思考費用』と呼ばれますが、人間には、この費用を避けるために普段やり慣れていることに逃げたがる傾向があります。また、新しいことには失敗リスクが伴いますが、リスクを回避したいというのは自然な感情です。
困ったさん:つい「なんでこんな簡単なことができないの」と思ってしまうんですが、夫にとっては新たな挑戦で、心理的ハードルが高いんですね。
佐々木先生:新しい家事に取り組んでもらうには、そんな夫の気持ちを踏まえ、少しお膳立てをすることが有効です。「行動指示」と呼びますが、最初にやること・その次にやること……というように、ゴールまでの道筋を具体的に明示してあげることで、安心して取り組むことができます。
困ったさん:夫ができないことを嘆くよりも、新しい家事を身につける手助けを心掛けます。でもなんで自分ばっかり、という気持ちにもなりそう。
佐々木先生:「旅行の計画を立てる」など、夫の得意分野ではお返しをしてもらいましょう! お互い日々の中で感謝し合うことが、いい夫婦関係を続けるためには大切です。
新しい挑戦に伴いがちな思考費用を節約するために、直感的で簡便な思考に走ってしまうことを、行動経済学では「ヒューリスティックス」と呼ぶ。
例えば、典型的な事例に則っているかを判断基準にすることは「代表性ヒューリスティックス」、自分の記憶から辿りやすい手がかりを優先して意思決定することは「利用可能性ヒューリスティックス」といった名称で分類されている。
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