先日、話題となったプロテニス選手・彭帥の性的暴行事件で、バッハ会長は彭選手とビデオ会話しては安全が確認されたと主張するなど中国寄りの姿勢を見せていたが、北京冬季五輪がもたらすビジネスの大きさを考えれば、無理からぬところかもしれない。
日本への波及効果の可能性も
もっとも、中国とウインタースポーツは日本の観光産業に与える影響も少なくない。中国からの近さに加え、日本のスキー場の雪質の良さは中国のスキー愛好家にもよく知られている。どうせならば、日本にスキー旅行をしたほうが楽しめるという人も増えていたという。
日本のスキー場側も、中国語を話せるインストラクターを雇用するなど、中国語圏からの顧客取り込みに力を注いでいた。中国人需要は新型コロナウイルスによって雲散霧消してしまったわけだが、海外旅行再開後のインバウンド需要につながる可能性は十分にありそうだ。
もっとも、肝心の海外旅行再開がいつになるかはさっぱり読めない。徹底的なゼロコロナ対策で感染拡大を抑え込んだ中国だが、21年夏頃から散発的な感染が起きるペースは増えつつある。デルタ株の感染力が高いことが影響したとみられるが、さらに感染力の高いオミクロン株が広がることで、さらに苦しい状況に追い込まれそうだ。
すでに中国各地では「22年の旧正月も帰省はやめよう」とのキャンペーンが始まっている。特に冬季五輪を控えた北京市の警戒感は強い。
五輪が終わっても、秋には習近平総書記の続投を決める党大会が控えており、ゼロコロナ対策をやめることは難しい。冬季五輪で雪に目覚めた中国人観光客が大挙襲来して日本の観光業にお金を落とす。その未来の実現にはまだまだ時間がかかりそうだ。