これに対しロシアは、スウェーデン、フィンランドがNATOに加盟するのは許しがたいとして、脅しをしてきた。このロシアの対北欧強硬姿勢は、スウェーデンとフィンランドでのNATO加盟論議に拍車をかけていると思われる。
スウェーデンとフィンランドはNATOに加盟するのか
「北欧バランス」は、ロシアとスカンジナビア諸国が慎重に扱ってようやく持続するものであり、プーチン政権の無神経な対応は、これを無に帰する結果になる可能性が強い。
スウェーデンとフィンランドのNATO加盟が実現するか否か、まだわからないが、両国とロシアの関係には元に戻ることが難しい不信感が生じていると判断してよいと思われる。
フィンランドが自国の歴史を自由に教えられるようになったのはゴルバチョフ、エリツィン時代であるが、フィンランドがソ連史観に影響を受ける教育に戻ることを、もはやフィンランド国民は決して受け入れないだろう。このことと、全体としての「フィンランド化」は、安全保障面では必ずしも連動するものではない。しかし、ロシアのプーチン政権は過去の栄光を追い求めるノスタルジア政策に陥っており、ロシアと北欧諸国の関係は、難しくなる要素が関係改善を促す要素より多い。