1月29日付の英Economist誌が、クーデタから1年を経過したミャンマーの危険な膠着した情勢を打破するために諸外国が何等かの手段を探求すべきことを論じている。
2021年2月1日のミャンマーのクーデタから1年を経過するが、危険な行き詰まりの状況が継続している。しかし、この社説によっても、外部から現状を変えるための有効な手段があるようには思えない。1月にトタルとシェブロンがヤダナのガス田プロジェクトから撤退することを発表したことは、軍事政権の資金源を断つ意味で有効と思われるが、他にどういう手段があり得るかは明らかでない。
何時のことか分からないが、現状が変わるとすれば、軍事政権の自壊は予見されないが、この政権が国内の状況から方針転換の必要性を考える時ではないかと思われる。既に経済の混乱を始めとして、情勢は統治不能に近いと思われ、軍事政権に大きな圧力となっているに違いないが、今後、次のような事象を注視して行くことが有益であろう。
第一に、国民民主連盟(NLD)の議員が作った影の政府=国民統一政府(NUG)である。NUGは領域を支配している訳でもなく、諸外国政府が承認している訳でもない脆弱な存在であるが、NLDとはスタイルも中味も違った特色を有していることに注目しておく必要があろう。
NUGはスー・チーの独裁的な党運営の手法と決別してコンセンサスでの運営を方針とし、ビルマ族の党であることと決別して少数民族を取り込んだ包摂的な政府だとしている。彼等は連邦政府を目指し、ロヒンギャに市民権を与えることを約束している。
この立場(スー・チーと一線を画する立場である)は彼等が国際的に正統性を主張する必要性、また軍と戦う上で少数民族の協力を必要としている事情を反映するものに違いない。
第二は、抵抗勢力が昨年夏には非暴力の不服従運動から劇的に転換して暴力による抵抗を始めたことである。装備や人員の面で軍に太刀打ち出来るような存在ではないが、少数民族の支援を得ている例もあるようである。