2024年12月26日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月22日

 2月4日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)で、Edward White同紙中国特派員、Kathrin Hille同紙中国特派員およびNastassia Astrasheuskaya同紙モスクワ、中央アジアリポーターがFTに「習が、より緊密な関係を強調した首脳会談で北大西洋条約機構(NATO)拡大に対するプーチンの反対を支持した。ロシアと中国の指導者は米国を非難し、北京オリンピックでの話し合いで共同戦線を提示した」との記事を書いている。 

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 北京オリンピック開会式に出席したプーチン大統領と習近平の会談の内容についての記事である。米国に対する中ロ共同戦線ができたという評価が述べられているが、その通りであろう。

 プーチンの最近の言動は常軌を逸していると考えられ、習近平がそれを支持したことには驚かされる。ウクライナをめぐる情勢を緊張緩和に持っていく事が習近平のやるべきことであったと思うが、ロシアの言い分を鵜呑みにした印象がある。

 プーチンは、ロシアの安全保障上の懸念を言い立てているが、これは正当な懸念ではない。ロシアは核兵器を大量に持つ核大国であり、それを攻撃しようとする国などは、米国を含めてない。ましてやウクライナやその他のロシアの近隣諸国がロシアを攻撃することは考えられない。ロシアの周辺国はロシアの軍事的脅威を感じているがゆえに、NATOに入りたいと言って、NATOに入っているのである。

 ポーランドやルーマニアなどのそれこそ正当な安全保障上の懸念を、プーチンは何の考慮にも値しないと考えているようである。プーチンは、帝国の再建という今の時代には許されない野望を実現したいのであろう。こういうプーチンの不当な要求を支持するなど、習近平はどうかしているが、その習も、「国家の偉大なる復興」という野望を掲げている。


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