もっとも、前述のように、教育関係者の方々にとっても情報入手自体が困難な状況であると推察します。この連載は、肝心な情報不足を補うための一手段になればと思って書いているのです。
水産庁の説明不足
ノルウェー漁業の実態
平成19(2007)年に水産庁が諸外国(EU,米国,ノルウェー)の漁業と漁業政策の概要という内容をホームページに出していました。その中に「ノルウェーの漁業と漁業政策」というものがあります。実際に出ている内容だけでは、ノルウェーは凄いとういう印象を持つには至らないと思います。ただし、長年にわたり毎日のようにノルウェーと接している筆者が具体的な解説を加えると、かなり違う実像が浮かび上がってきます。
そして、実際にノルウェーの現場を見てきた視察団の方々からは(宮城大学主催 2012年9月実施、気仙沼市主催 2013年1月実施)、口々に「百聞は一見に如かず」と資源管理により成功している水産業と、その立派な漁船と加工場、養殖場、若い働き手に圧倒されています。
写真をみてください。2013年1月に気仙沼市主催のミッションが訪れた、新造巻網船です。費用は約42億円。同じ型の船がもう一隻建造中です。映画を見るシアター室や会議室も完備しています。ここまで豪華である必要があるのか? という意見も視察団にはありました。しかし、ノルウェー側は「より優秀な乗組員を確保するために必要」という考えです。これに高い年収と十分な休みが加われば、若い人が漁業者になりたがることも納得できます。
(提供:筆者)
筆者はあるテレビ制作会社から、ノルウェーの漁船を撮影したいのだが、良い船を教えてもらえないか? と問い合わせを受けたことがあります。それに対して「ノルウェーのオーレスンという水産業の町に行けば、巻網漁船が停泊しています。どの船でも十分にすごいので、特にどの漁船が良いということはありません」とお答えしました。