成功者ではなく、チャレンジャーの立場
今後チャレンジしたいことは何か。
「戦後の日本企業は、東南アジアなどの国々で製造拠点をつくった。それで国が豊かになったことで大いに感謝された。今度は、同じようにサーキュラーエコノミーやサステイナビリティといった領域の展開を世界中の国々で行っていきたい。そして、この領域であれば、TBMをはじめとした日本企業が世界一だと言われるような存在になっていきたいと考えている。情報革命、AI革命の次は、サステイナビリティ革命が起きるはずだ。
ユニコーン企業と呼んでいただける存在になったことはありがたい。ただ、成功者ではなくまだまだチャレンジャーの立場だ。後に続くスタートアップ企業の経営者たちの手本となるように、責任を持って事業を成し遂げていきたい。われわれは、まだ直接的にスタートアップを支援できる立場じゃない。だからこそ、戦っている姿を見せていきたい」
新しく事業を起こす際、チャンスととらえるのか、リスクが高いととらえるのか、人それぞれだろう。ただ、判断する際に大いに役立つのが第三者の意見だ。「学歴という意味で私にはプライドがないから、人から教えを請うことに抵抗がない」と、笑う山﨑氏のもとには、大事な局面ごとに助言をしてくれる人が現れる。「教えを請う」という姿勢を貫いているからだろう。山﨑氏のもとには、異業種の社員や社外取締役といった形で新たな人材が止むことなく集っている。
日本企業の様子がおかしい。バブル崩壊以降、失敗しないことが〝経営の最優先課題〟になりつつあるかのようだ。しかし、そうこうしているうちに、かつては、追いつけ追い越せまで迫った米国の姿は遠のき、アジアをはじめとした新興国にも追い抜かれようとしている。今こそ、現状維持は最大の経営リスクと肝に銘じてチャレンジし、常識という殻を破る時だ。
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