ホワイトハウスによれば、ハーリド・ビン・サルマン王子とジェイク・サリバン補佐官の会談では「世界的な経済の強靭性を確保する努力の調整」が議論された。要するに、サウジの原油増産について話し合われたということである。政権としては、ウクライナ戦争に起因するエネルギー市場の動揺もあり、サウジアラビアとの関係修復を検討するのも止むを得ない選択となってきたと思われる。
ガソリン価格を下げないと中間選挙で戦えない
バイデン大統領は、トランプ前大統領がMBSを甘やかし過ぎたと感じていたに違いない。彼はサウジアラビアとの関係の崩壊を避けるべく注意を払いつつも、人権を重視する立場から、思い定めてサウジアラビアとの関係の基調を変えようとした様子であるから、軌道を修正するのは難しい。しかし、ホワイトハウスには国内のガソリン価格がウクライナ戦争前の水準の27%増という状況では中間選挙は戦えないという警戒感も強い。そうかといって、バイデン大統領の立場もあり、単純に石油と安全保障の取引きの関係に立ち戻る訳にも行かないであろう。
イランの脅威やイエメンの紛争について了解を遂げることが必要なことは当然として、ここは一捻りの工夫を要する。GCC諸国の首脳と一堂に会する会合を実現し得るとすれば、それは工夫を助ける道具となるのかも知れない。