2023年2月8日(水)

2024年米大統領選挙への道

2022年6月17日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

イバンカの非言語コミュニケーション

 公開公聴会ではウィリアム・バー前司法長官の「(20年米大統領選挙において)選挙が盗まれたという主張は全くのでたらめである」という証言に関して、イバンカ元大統領補佐官は緊張した面持ちで、「司法長官の発言を受け入れる」と発言した証言映像が紹介された。このときのイバンカ氏の表情、すなわち非言語コミュニケーションから、精神的苦痛を受けていることが窺える。

 イバンカ元大統領補佐官はバー氏に賛同し、20年米大統領選挙における不正の根拠はないという見解を示した。もちろん、トランプ氏や長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏らトランプファミリーのメンバーはバー氏と反対の立場をとっている。イバンカ氏の「反乱」により、トランプファミリーに亀裂が生じる可能性が出てきた。

 そもそもイバンカ氏は20年米大統領選挙終了後、元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏や弁護士のシンディー・パウエル氏を中心に結成された選挙不正の調査チームに参加せず、距離を置いてきた。  

 連邦議会議事堂乱入事件が発生したとき、イバンカ氏は議会を止める声明を支持者に出すように、トランプ氏に対して繰り返し説得を試みたと言われている。

 加えて、イバンカ氏はスティーブ・バノン元被告やピーター・ナバロ元米国家通商会議委員長などのトランプ氏の元側近とは異なった行動を選択した。彼らは下院特別調査委員会の召喚に応じなかったが、イバンカ氏は夫の・ジャレッド・クシュナー元大統領上級顧問と共に証言をした。

 おそらくイバンカ氏は、父親のトランプ氏をかばい切れなくなったのだろう。仮に公聴会で選挙不正を支持すれば、不名誉なことになると判断したのかもしれない。


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