2022年10月7日(金)

WEDGE REPORT

2022年6月28日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

岸田首相らにキーウ訪問の計画なし

 戦闘の最中にも各国首脳が相次いでキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領らとの会談で全面支援を表明しているが、岸田文雄首相ら日本政府首脳らの訪問計画はないという。

 各国が、閉鎖していたキーウの大使館を相次いで再開しているなか、日本大使館も条件が整い次第、再開する方針であることを明らかにした。キーウの日本大使館は3月初めに一時閉鎖、現在は隣国ポーランドのジェシュフに開設した臨時事務所で業務に当たっている。

松田大使インタビューの主な内容(後半)は次の通り。

 ――ウクライナが持ちこたえられるかどうかのカギは何か。 

 大使 「国際社会の結束強化、強力なロシア制裁の実施、そして、人道・財政・軍事協力など、物心両面でのさまざまな支援につきる」

 「各国による武器供給や軍事訓練は確実に継続されている。6月中旬の北大西洋条約機構(NATO)国防相会合では、重火器や長距離システムの追加供与を改めて発表した」  

――それら重火器はすでに搬入されているのか。

 大使 「6月21日、ウクライナのレズニコフ国防相は、ドイツ供与の155ミリ自走榴弾砲がすでに前線に配備されていると明らかにした。25日にはザルジニー軍総司令官も米国から提供された高機動ロケット砲システム(HIMARS)がやはり前線に投入され、ロシアに対する攻撃で成果をあげていると説明している」

 ――激戦が続いていたドンバス地方のルハンスク州セベロドネツクが陥落したと報じられたが。

 大使 「米国防総省スポークスマンは、組織的、戦術的退却であり、次の作戦を効率的に遂行するための体勢強化だと、むしろ評価した。重火器の戦線投入で戦局がどう展開するのか、注目される」

 ――軍事以外での支援はどうか。

 大使 「6月23日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議で、ウクライナに『加盟候補国』のステータスが正式付与されたのは重要な外交上の動きだ。ウクライナ政府は、高く評価、歓迎しており、国民も大きく勇気づけられている」

 ――事態収拾をめぐって西側に考え方の違いがあるようだ。独仏などは停戦を急ぐべきと主張、英、ポーランドのようにロシアの脅威を徹底的に除去すべきだと訴える国もある。

 大使 「5月にイタリアが4段階の和平プランを国連に提出、国連事務総長に加えいくつかの国も仲介努力を行っているが、ロシア側は自らの強硬な立場を和らげて歩み寄ろうとする姿勢をまったく見せていない」

 ――各国の和平案に対するウクライナ側の姿勢は。

 大使「6月6日にゼレンスキー大統領がいかなる和平案での交渉も行われていないと公に言明した。このような不協和音が伝えられる中で、6月16日、独仏伊3カ国首脳がそろってキーウでゼレンスキー大統領と会談した」

 ――3カ国首脳が、ウクライナに譲歩を迫ったりしたことはなかったのか。

 大使 「ウクライナのクレバ外相によると、3カ国首脳は、『無理強いや説得、または圧力をかけることはなかった』と説明している。とりあえず団結と連帯は維持されたとみていい」

 ――「大国の論理」による解決を押し付けることは許されないと思うが。

 大使 「ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続けている時に、国際社会がウクライナの意思を無視して、その将来を決めるようなことはすべきではない」

 ――双方による直接の和平交渉が再開される見通しは。

 大使 「和平交渉は侵略直後の2月下旬から始まり、オンライン形式も含めて継続されたが、5月中旬から中断している。交渉再開を予測するのは難しい」

 「6月18日、ウクライナの交渉団長で、与党『国民の奉仕者党』のトップも勤めるアラハミア氏が、いくつかの戦線でウクライナ軍が反転攻勢に出て、8月末には優位な立場で再開できると示唆したことは注目すべきだ」

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