2022年10月7日(金)

WEDGE REPORT

2022年6月28日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

各国大使館の再開状況は?

 ――ロシアに対する経済制裁は効果をあげているのか。

 大使 「明らかだ。6月16日にサンクトペテルブルで開催された国際経済フォーラムで、ロシア中央銀行の総裁は、国内生産の15%が影響を受けて対外経済の条件が変化、経済の迅速な回復の可能性について悲観的な見通しを述べた。翌日、ロシア最大の銀行、ズベルバンクの総裁も経済が21年レベルにまで回復するには10年以上かかると悲観論を示した」

 ――軍事部門での影響は。 

 大使 「欧米の軍事専門家の間では、半導体、先端技術、部品等の調達が困難になって軍需産業、とくにミサイルなど精密兵器の生産に大きな支障が出ているという分析もなされている」

 ――プーチン大統領の重病説がある。クーデターの可能性とあわせて何らかの情報をもっているか。

 大使 「いろいろと報道されているが、それ以上の情報は持ち合わせていない」 

 ――日本はこれまで、対露制裁でG7と足並みをそろえて外交官追放など健闘してきた。各国首脳らのキーウ訪問が相次いでいるが、日本の首相らの訪問の可能性は。

 大使 「現時点では計画はない」

 ――キーウの大使館を再開する国が増えているが、日本は。

 大使 「開戦前、キーウには78の大使館及び国際機関代表部が置かれていた。(一時隣国などに移動した後)6月中旬になって、51がキーウに戻り、業務を再開している。わが国としても、現地の情勢などを注視しながら、総合的に検討している」

ウクライナ政府はすでに復興計画を検討

 ――戦後のウクライナ復興で日本が果たすことのできる役割は。

 大使 「復興には長い期間と膨大な資金が必要。ウクライナは、第2次世界大戦後の再建、カンボジア、イラク、アフガニスタンの紛争後の支援、相次ぐ国内の自然災害からの復興を通じて、多くの経験とノウハウ、人材を持つ日本の役割に強く期待している」

 「政府・自治体・民間のオールジャパンで協力すれば、道路、鉄道、空港、橋、学校等の公共インフラ、製鉄所や化学工場等の産業施設の復旧・復興において大きな役割が果たすことができるだろう」

 ――ウクライナ政府はすでに復興計画を持っているのか

 大使 「大統領のもとに設置された『国家復興評議会』の作業部会(WG)にはウクライナのほか日本人を含む外国人専門家が多数参加している。欧州統合、金融システム改革、戦争被害の評価、復員軍人補償、スポーツ、文化再建など、幅広い分野を網羅、検討している」

 「単なる戦後復興ではなくて、『Build Back Better』(よりよく作り直す)を標榜して再建を目指しているようだ」

 ――計画の具体的な進め方は

 大使 「『後見制度』というアイディアを打ち出している。姉妹都市や経済関係を土台に、各国がウクライナの特定の州や産業セクターの復興を『後見する』という構想。英国がキーウ州及びキーウ市、デンマークがミコライフ州を後押ししたいと表明している」

 「日本からは、京都市とキーウ市、横浜市とオデーサ市が姉妹都市関係にある。横浜からはオデーサに、緊急時に10万人分の飲料水を供給できる移動式浄水器33台が寄贈された」

 
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 ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
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