「Wedge」2022年7月号に掲載されている特集「日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな」内の記事です。特集の購入(有料)は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
「わが社では、今後、アジアで店舗数を増やす計画があり、日本で5年間働いた人材は、間違いなく現地の幹部候補生になります。『特定技能』を活用する一番の目的は、現地での中核人材を育成するためです」
ある大手外食チェーンの幹部が何の悪気もなく話した言葉を聞き、小誌記者は首を傾げざるを得なかった。主旨が曲解されているからだ。
繰り返しになるが、特定技能制度(下図参照)は、「人材の確保が困難な一部の産業分野等における人手不足に対応するため」に創設された制度であり、「海外展開の足掛かりのための人材育成」として活用されるべき制度では決してない。
特定技能制度
「移民は受け入れない」という〝国是〟のもと、なし崩し的に外国人労働者の受け入れを進めてきた結果、多くの日本企業がこのように都合のいい解釈で制度を活用できるようになってしまった。こうした状況を生み出した歴代の日本政府の責任は極めて大きい。
日本国内では韓国を蔑む傾向が強い。だが、「移民政策を大転換した韓国 日本も〝矛盾〟から脱却する時」で見たように、韓国は制度の矛盾に正面から向き合い、国民の声を拾い上げてムーブメントを巻き起こし、移民政策を転換した。その姿勢から学ぶべきことは多い。つまらないナショナリズムは捨てるべきだ。