2022年12月4日(日)

世界の記述

2022年7月15日

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宮下洋一 (みやした・よういち)

ジャーナリスト

在欧ジャーナリスト。1976年生まれ。スペイン・バルセロナ大学大学院でジャーナリズム修士。『卵子探しています』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『安楽死を遂げるまで』(同)で講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ・外国人ぎらい』(PHP新書)がある。
 

 銃犯罪のない平和な国――。欧州人の多くが口にするニッポンのイメージだ。7月8日に発生した安倍晋三元首相銃撃事件を受け、ヨーロッパの一般市民は、実際にどのような印象を抱いたのか。事件から数日後の報道と、フランスとスペインの町中の声を探ってみた。

フランス国際放送『TV5モンド』では、地政学者による事件に関する解説も放送された(YOICHI MIYASHITA、以下同)

欧米と日本の銃所持率

 10日付の仏日曜紙『ジュルナル・デュ・ディマンシュ』は、「シンゾー・アベの生中継での死」と刺激的な見出しを掲載した。「日本は、どの通りにも危険がない国。安倍氏には、警戒する理由がないばかりか、普段の行動を変える必要すらなかった」と書かれている。

刺激的な見出しが躍るフランス日曜紙『ジュルナル・デュ・ディマンシュ』

 安倍元首相が撃たれた当日、欧州各国のテレビ局は、一斉に銃撃事件を報じていた。2日目になると、新聞各紙は国際面のトップとして扱う中、テレビはもはや報じない局が多かった。各紙の主な論調は、「銃の入手が難しい日本で起きた衝撃」だった。

 銃撃事件は、フランスでは頻発する。スイスの「小銃器調査」(2018年版)によると、一般市民100人のうち、銃所持率の割合がもっとも高い国は米国の120.5%だという。しかし、ヨーロッパでは、スイスの27.6%を筆頭に、フランスとドイツが19.6%という高い数値を示している。銃所持を禁じている日本は、0.3%という低い数字に留まっている。

 欧州市民にとって、銃は日常生活と結びついているものなのか。フランス南部ペルピニャン市内で、声を拾ってみた。

 今年から教員になるポリーヌさん(24歳)は、「フランスでは、銃撃事件はよく耳にします。友人の間でも、身近な人たちが銃を所持している話がたまに挙がります」と明かした。彼女は、「この国の2人に1人は、銃を持っているのでは」と推測した。

 隣にいた友人のセリアさん(23歳)は、「そこまで多いとは思わない」と否定しながらも、「10人中3人くらいが銃を所持しているのでは」と想像した。二人は、安倍元首相のニュースを知らなかったが、「日本は暴力が少ない国だと思っていた」と声を揃えていた。

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