世界でも有数の技術大国である日本で「日本の技術は日本で守るべき」という意識を持つのは当然であり、昨今の動きは歓迎すべきである。
ただし、ここで重要なことは経済安保の本質をしっかり認識して、「正しく恐れ、備える」ことなのだが、残念ながら、いまだ日本が持つ技術の真価と本当のリスクを過小評価し、「自分(の企業)には関係がない」と感じている個人や企業なども多い。
国外から日本の技術を狙う産業スパイは思わぬところで暗躍している。まず現場では何が起きているのか、実態を知るためにいくつかの事例を見ていきたい。
SNSを介して
産業スパイが日本人に迫る
20年、大阪府の住宅化学メーカー・積水化学工業の研究員が、スマホのタッチパネルなどに使われる電子材料「導電性微粒子」の情報を中国企業に渡していたことが発覚した。ビジネス特化型SNS・リンクトインを介して接触してきた中国・広東省の通信機器部品メーカー「潮州三環グループ」の関係者に唆されて、導電性微粒子の製造過程に関する書類や画像をメールで送信していた。同グループは中国共産党とも近い企業として知られているが、……
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