安倍外交は世界に強い印象を残した。日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋とクワッド(日米豪印)の立ち上げ、環太平洋連携に関する包括的および先進的な協定(TPP11)の発効、警戒と現実主義の対中姿勢等が特筆される。
安倍外交には、強い世界観と戦略性があった。更に日本外交に新たな力とスタイルを吹き込んだ。恐らく元総理の最大の心残りは、対露関係であったのではないか。責任はプーチンに有るのだが、ウクライナ戦争により一層見通しがつかなくなった。
日本外交の損失を最小限にしなければならない
安倍元総理の死は、日本外交にとり少なくとも一時的には大きな損失になろうが、その影響を最小化せねばならない。7月11日、岸田文雄首相は安倍元首相の「思い」を受け継いで行く旨述べている。日本外交を引き続き力強く、積極的に推進していくこが重要だ。特に来年は主要7カ国(G7)議長国になり、重責を担うことになる。
このように安倍元首相は、最近国際社会で最も評価、信頼される日本の総理だった。それは日本にとり幸運なことだった。一つ気になることがあるとすれば、内外評価の乖離である。この乖離により、日本は何か重要な機会を逸しているような感がする。
世界は現実的に評価する。われわれももう少し有りのままに指導者や政策を見るべきではないだろうか。更に自己や自国にもっと楽観的になるべきではないか。過度の悲観主義や完璧主義は良いことではない。