現代社会を支える技術には、軍民両用のものや国防予算から生まれたものも多い。その代表例を見てみよう。
監修・西山淳一(未来工学研究所研究参与) 文・編集部(木寅雄斗)
ライトショーから爆撃まで
世界各地で使われるドローン
今や測量や農業、メンテナンスなど、さまざまな産業分野で活用されるドローン。テレビやユーチューブでは、私たちもドローンならではの観光地や大自然の空撮映像を楽しむことができる。昨年の東京五輪開会式では、1824台のドローンによる壮大なライトショーが披露された。一方、ロシアのウクライナ侵攻で、ドローンはさらに注目を集めることになった。トルコのバイカル社製「TB2」のような純粋な軍用ドローンだけでなく、民生用ドローンも敵の偵察などで大活躍しているのだ。
そもそものドローン(正確には無人航空機〈UAV〉)の起源は、第一次・第二次世界大戦期に軍用機を無線で操縦できないかと研究が始まったことにある。英国が開発した最初期の無人機は「クイーンビー(女王蜂)」と名付けられ、ここから転じ無人機が「ドローン(雄蜂)」と呼ばれるようになった。
戦後も軍民双方でドローンの研究は進んでいく。1983年には日本のヤマハ発動機が農薬散布用の本格的な産業用無人ヘリコプターを開発した(中国へ不正輸出された事件も起きている)。また当初は偵察用などだった軍用ドローンは、21世紀の対テロ戦争で攻撃にも使われるようになる。現在、世界では無人戦闘機から小型ドローンまで、さまざまな軍事研究が進んでいるが、日本は後塵を拝している。
迷子を防いでくれるGPSは
今でもあくまで米軍の「兵器」
有名なエピソードがある。
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