2024年11月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年8月30日

 プーチン自身が不正な選挙で当選している面があり、ルカシェンコ支持がロシアの政情の安定、ベラルーシに対する影響力保持に資すると考えたのであろうが、あまり適切な判断ではなかった。普通に対応していれば、ウクライナもベラルーシも自然に親ロシアの国家、国民であり続けたのではないかと思われる。誇大妄想と被害妄想にとらわれて、プーチンはウクライナもベラルーシもその国民をロシア離れするようにしてしまっているように見える。

ルカシェンコにも危機感

 ウクライナ戦争との関係では、ベラルーシはキーウ攻略のための通路に当たる。キーウ攻略はロシアが当初狙ったが、ウクライナ側に押し返された。

 それで今はウクライナ東部と南部にロシア軍が集中されている。今後の戦争の推移はまだわからないが、ロシアがキーウを占領するシナリオはなく、ウクライナ全土を支配下に置くロシアの目論見が実現する可能性はほぼない。

 ルカシェンコは、最初の話と違い、戦争が長期化している、長期化すると不測の事態が起きかねない、などと言っている。ルカシェンコの発言は支離滅裂であるが、ウクライナ戦争の帰趨が自分の政権維持に悪い影響を与える、チハノフスカヤ政権が成立しかねないと本能的に感じている可能性が大であるように思われる。

 なお、ウクライナは人口が4000万以上であるが、ベラルーシは1000万に足りない。ベラルーシ軍は空軍、陸軍からなるが、4万少しの兵員しかいない。20万人が亡命政権の武装部門に登録しているというのは相当大きい数字である。

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